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【あの人は今こうしている】

阿部四郎さん

【スポーツ】

2010年8月12日 掲載

5年前に消滅した 全日本女子プロレスの名物レフェリーだった阿部四郎さん。

●「全女からは1円ももらってない。それどころか、交通費や宿泊代は全部自腹だった。」
 5年前に消滅した全日本女子プロレスの名物レフェリーだった。ダンプ松本率いる極悪同盟がクラッシュギャルズと抗争を繰り広げた80年代、極悪同盟と結託して悪役レフェリーを演じた阿部四郎さんだ。今どうしているのか。

「一昨年の6月、自宅の鍵を開けようとしたら、左腕が思うように動かなくてね。こりゃおかしいってんで救急車を呼んで病院に行ったら軽い脳梗塞と診断され、20日ほど入院したんだ。でも、その前から決まってたレフェリーと歌謡ショーの仕事があって、無理言って2日外泊させてもらったけど、命の保証はできないってしかられちゃった」
 JR立川駅前にあるホテルの喫茶室で会った阿部さん、まずはこう言った。
 はて、まだレフェリーをやっていたのか?
「12年前に一度は全女のレフェリーは辞め、その4年後にダンプ松本に頼まれて復帰したんだ。5年前に全女がつぶれてからは、フリーとして『IWA JAPAN』とかのレフェリーをしてた。だけど、それも去年4月にリタイアしたよ。もう69(歳)だったし、全女のレフェリーを始めて節目の40年でちょうど良かったんじゃないの」
 では、「歌謡ショーの仕事」とは?
「レフェリーの頃から東村山で『大和プロ』って興行会社を経営してるの。そこで北島三郎とか鳥羽一郎なんかのディナーショーを手がけて、この秋には原田悠里や北川大介のショーをやる予定だよ」
 また、立川駅前で「すいせん」なるスナックを経営している。
「5年ほど前、ここに税務署が入って大変だった。誤解しないでくれ。脱税したわけじゃないんだから。源泉引かずに女の子に給料を払ってて、それが貯まりに貯まって500万円にもなってたんだ。今さら女の子から源泉徴収するわけにもいかず、今でも月賦で払ってる」
 そういえば、全女時代の阿部さん、ノーギャラだったことは有名だ。
「最盛期は年間300試合はあって、ほぼ毎週のようにテレビに出てただろ。ガッポリ稼いでるはずだって、国税がオレんところに来た。で、全女からは1円ももらってない。それどころか、交通費や宿泊代は全部自腹を切ってやってると説明したら、信じられないって顔をしてた。全女内部では好きでレフェリーやってる阿部にギャラを払う必要がない、ってことになってたらしい」
 そればかりではない。全女の借金の保証人になっていたおかげで、35年余り住んでいた東村山の自宅を、一昨年8月、手放す羽目になったそうだ。
「女房と力を合わせて1900万円で買った家だよ。それを借金のカタに持っていかれた。しかし、一緒に暮らすはずの女房は1万人に4人、アルツハイマーよりはるかに重い難病にかかってて、もう家に帰ってこられないんだ。それを思ったら、広い家があっても寂しいだけ。今の立川のアパートで十分だわ。その女房の治療費が国から毎月5万円の補助が出るとはいえ、オレも月に10万円以上払わなきゃならない。ホント、70になっても、楽隠居なんて夢のまた夢だね」
~2010年8月12日以前の記事~