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取り調べ「暴行」認定 大阪地裁所長襲撃事件の国賠訴訟

 大阪市住吉区で平成16年に起きた大阪地裁所長襲撃事件で逮捕・起訴され、無罪判決が確定した男性ら5人が、国や大阪府などに計約6800万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。吉田徹裁判長は、府警の取り調べで「暴行や自白の誘導があった」と認定した上で「誘導で得た自白をもとに逮捕・送検したのは違法」として、府に計約1520万円を支払うよう命じた。

大阪府に1500万円支払い命令

 国(検察)への請求については「手続きに違法性は認められない」として棄却。児童相談所が違法な捜査に協力したとして、大阪市に求めた賠償も「警察官に注意するなど、一定の措置を講じた」と退けた。

 原告は、府警に補導され、襲撃を自白した当時13歳の元少年(20)▽少年審判で無罪に当たる決定が確定した兄(23)=事件当時(16)=と弟(21)=同(14)▽刑事裁判で無罪が確定した岡本太志さん(33)と曺敦史さん(36)―の5人。

 判決理由で吉田裁判長は、府警の取り調べを検討。元少年の当時の日記や、児童相談所の記録から「大声で怒鳴り、頭髪をつかむなどの暴行があった。アリバイがあるのに自白しており、警察官による不当な誘導があった」と認定した。

 兄弟の取り調べでも「警察官が机をたたいたり、怒鳴ったりした」と判断。「2人の自白は虚偽の可能性が高い」とした。成人2人の取り調べについても、被疑者ノートの記載などから「不当に威圧的だった」と述べた。

 一方、大阪地検による起訴や裁判での立証活動などについては「自白が誘導によるものと認識するのは困難だった。検察官が犯罪の疑いがあると判断したことに違法性はない」とした。

大阪地裁所長襲撃事件 大阪市住吉区で平成16年2月16日夜、帰宅中の大阪地裁所長(当時)が若者グループに現金を奪われ、重傷を負った事件。大阪府警は同年4~6月、成人2人と当時13~16歳の少年3人を逮捕・補導した。成人2人は一貫して否認、少年3人は自白した後、否認に転じた。13歳少年の交際相手が「犯行日時に2人で会っていた」と携帯電話のメールを基にアリバイを証言し、成人2人は刑事裁判の1・2審で無罪判決を受け確定。家裁送致された少年2人も「無罪」に当たる決定が確定した。

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