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夢大陸:原千春社長逮捕 男はウソつくが、お金は裏切らぬ 「巫女」不安くいもの 

 ◇捜索後も「会社守る」

 地域FM放送局の番組などを舞台に全国の投資家から67億円もの資金を集めた福岡市の投資コンサルタント会社「夢大陸」による金融商品取引法違反事件は、福岡県警が同社社長、原千春容疑者(55)を逮捕し、公共の電波を使った異例の巨額詐欺事件に発展した。「六本木の巫女(みこ)」と称し、経済動向の「予言」を資金集めの手段にした原容疑者。実業家として夢を実現したかにみえたサクセスストーリーは暗転した。【川名壮志、金秀蓮】

 自伝などによると、原容疑者は山口県下関市生まれ。米国の大学を卒業後勤めた大手証券会社では営業成績トップを誇ったという。その後ファイナンシャルプランナーとして独立。05年に地域FM放送局を買収し、成功した女性実業家として経済紙にも取り上げられた。「恋愛は謳歌(おうか)しても男性には依存しない」。生き方も注目された。

 住まいは六本木ヒルズ(東京都)。「男はウソをつくが、お金は裏切らない」などと話す一方「霊感」もアピールし、全国の神社を巡る「女神研究家」として本を出版した。

 原容疑者は地域FM局の番組に「六本木の巫女」と名乗って自ら出演。「大きな銀行はつぶれます」「日経平均が4800円を下回る時代が来る」。市場の常識と異なる「予言」をして、顧客から海外への投資名目で多額の資金を集めた。

 しかし、集金システムは次第にほころび始める。顧客から「海外証券を買ったが証券が届かない」などの苦情が相次ぎ、昨年4月には県警の家宅捜索が入った。それでも当初は「何としても会社は守る」と強気の姿勢を崩さなかった。

 関係者によると、原容疑者は家宅捜索後も派手な生活を続けた。福岡市の高級マンションに住み、兵庫県の有馬温泉や大分県の湯布院などの高級旅館を毎月のように訪れたという。原容疑者をよく知る関係者は「FM局を買収したころから急に羽振りが良くなった。集めた資金を使っていたのだろうか」と首をかしげる。

 一方、夢大陸のあっせんで投資したという東日本在住の女性は「これ以上被害者が出ないか心配していた。逮捕されて心底ほっとしている」と安堵(あんど)した。

 女性は09年10~12月、海外口座への送金名目などで約4000万円を振り込んだが、数百万円しか戻ってこなかった。「原容疑者は顧客に弁解を繰り返し、真実を語ってくれなかった。県警の家宅捜索後も顧客から借金しており、許せない感情を通り越してあきれた。警察の調べには真相を話し、罪を償ってほしい」と話した。

毎日新聞 2011年1月16日 西部朝刊

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