福岡県警は１５日、福岡市早良区の投資コンサルタント会社「夢大陸」が投資家から集めた資金を運用せずにだまし取ったとして、同社社長、原千春容疑者（５５）を詐欺容疑で逮捕した。県警は、原容疑者が自ら経営していた地域ＦＭ放送局などで海外投資名目で勧誘し、全国から数十億円に上る資金を集めたとみて追及する。

　捜査関係者などによると、原容疑者は０５年に買収した地域ＦＭ放送局の番組などで「六本木の巫女（みこ）」と称し、「日本経済は破綻する」「大きな銀行はつぶれる」などと投資家の不安をあおる独自の経済観測を流していた。放送を聞いたリスナーが関連会社である夢大陸に相談すると、海外口座の開設や有価証券の購入を持ちかけ、資産運用をあっせんしていたという。

　しかし、０９年ごろから「海外口座の開設が確認できない」「購入した海外証券が届かない」などといった顧客の苦情が相次ぐようになった。

　１０年４月には金融庁の許可なく金融商品を取り扱ったとして、県警から金融商品取引法違反（無登録）容疑で同社などを家宅捜索された。更に、押収資料などから同社が集めた資金をほとんど運用せず、投資資金を詐取していた疑いが浮上。県警は同社を詐欺容疑でも家宅捜索するとともに、同社幹部らを任意で事情聴取するなどして慎重に捜査していた。

　夢大陸を巡っては、東京、北海道など１３都道県の４４人が１０年１２月、海外口座開設や有価証券購入目的で現金を預けたのに返還されないとして、同社などに約９億円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に提訴している。

　夢大陸は０１年設立。資本金９０００万円。当初はインターネットのウェブサイトの制作をしていたが、その後投資のあっせんをするようになった。現在は休業状態とみられる。【川名壮志、近松仁太郎】