きょうのコラム「時鐘」 2011年1月21日

 愉快なタクシー運転手に出会った。世間話のつれづれに、「お客さん、タイガーマスクの次に現れるマスクを知ってますか」

インフルエンザと花粉症のマスクだそうな。別の客のネタの受け売りかもしれないが、うまい事を言う。マスクもいろいろ。もっとも、インフルのマスクは既に結構出没している

県内でも学級閉鎖の学校が出ている。受験生もいるだろうから、感染が広がらないことを願うが、子どものころ、とりわけ何でも周囲に逆らいたくなる反抗期には、逆のことを願った。胸を張って学校をサボれるのが学級閉鎖である。冬には時折、そんなすてきなことが起こる

熱を出し、しばらく寝込むのも悪くはなかった。普段は口やかましい家族が、優しい顔で気遣ってくれる。食事も病人用の特別あつらえ。大人が「困った」と言うものの中には、まんざらではないものもある。そんなへそ曲がりの考え方を、少しばかり学んだ

就職が決まらぬのは「困った」ことである。だからといって、ナイフで騒ぎを起こすのは、へそ曲がりに似て非なるものである。捨て鉢とへそを曲げるのとは違う。