福岡市早良区の投資コンサルタント会社「夢大陸」が架空の投資話で顧客から購入代金をだまし取ったとして、福岡県警は15日、詐欺の疑いで同社社長原千春容疑者(55)=同市中央区=ら4人を逮捕した。原容疑者は「六本木の巫女(みこ)」と称してラジオ番組に出演して投資を募り、全国の約400人から約67億円を集めていたとみられる。県警は、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑の適用を視野に不透明な資金調達の解明を目指す。
ほかに逮捕されたのは元副社長の岩田賢二(57)=同▽元社員龍都(りゅうみやこ)(55)=佐賀市▽元社員諸麦健次(53)=福岡市西区=の3容疑者。県警によると、原容疑者ら3人は容疑を認め、諸麦容疑者は「だましたつもりはない」と否認しているという。
4人の逮捕容疑は2008年2-8月、福岡県大野城市の会社員女性(68)に「今は1ユーロは140円だが、確実に200円になる。利益確定だから損はしない」などとうそを言い、フランス国債などの販売名目で計4710万円を振り込ませるなど計3人から計6800万円を詐取した疑い。
県警は昨年、金融商品取引法違反や詐欺容疑で同社を家宅捜索、押収した帳簿から金融商品を取り扱っていなかったことを確認した。顧客から集めた約67億円のうち、原容疑者らは約8億円を私的に流用し、装飾品や高級腕時計の購入などに充てたとみている。
原容疑者は自身が経営する地域FM放送局(昨年10月末に閉鎖)で金融動向を予測し、投資を募っていた。夢大陸は01年2月設立の株式会社。資本金9千万円で、企業のホームページ制作などを請け負い、05年から金融商品のあっせんを始めたという。
同社をめぐっては昨年12月、福岡や熊本など全国13都道県の44人が計約9億円の損害賠償を求める集団訴訟を福岡地裁に起こした。
=2011/01/16付 西日本新聞朝刊=