外国債など金融商品の購入を持ちかけ、仲介名目で顧客から金をだまし取ったとして、福岡県警は15日、投資コンサルタント会社「夢大陸」（福岡市）の社長、原千春容疑者（55）＝同市中央区大濠2＝と元社員ら計４人を詐欺容疑で逮捕した。県警の調べに対し、原容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているという。

　県警によると、同社は2005年８月以降、全国の約400人から67億円を集金。実際には運用せず、８割を顧客らの満期償還に転用、残りを事業資金や宝飾品などの私的消費にあてていたという。県警は組織犯罪処罰法（組織的詐欺）の適用も視野に全容解明を進める。

　４人の逮捕容疑は、共謀して08年１月～09年12月、「フランス国債は確実に利益が出ます」などと投資を勧誘。外国債などの購入を仲介する名目で福岡県内の女性（45）ら３人から約6800万円を詐取した疑い。

　県警などによると、原容疑者は自らを「六本木の巫女（みこ）」と称し、買収した地域ＦＭラジオ番組や金融セミナーで「日本の国家財政は破綻する」「円は紙くずになる」などと不安をあおり、連絡してきた投資家らに外国債購入を持ちかけていたという。

　県警は昨年４月以降、同社関連先を金融商品取引法違反（無登録営業）や詐欺容疑で家宅捜索、原容疑者らの事情聴取や押収品の分析を進めていた。

　夢大陸を巡っては、投資金名目で現金をだまし取られたとして、福岡県など13都道県の男女44人が、同社に対し計約９億円の損害賠償を求めるなど、複数の訴訟が起こされている。