2011年1月20日6時43分
開発中の小型レーダー観測衛星のイメージ=経済産業省提供
経済産業省が所管する財団法人「無人宇宙実験システム研究開発機構」がNEC、三菱電機と共同で、新興国向けの小さな観測衛星開発に乗り出している。重量400キロ級の小型レーダー衛星と、100〜200キロ級の超小型光学衛星の2種類で、2013年度の完成を目指す。需要拡大が見込める小型衛星市場で先手を打ち、新興国への輸出拡大をねらっている。
観測衛星は地表の状態を調べて災害対策や農産物の生産拡大、資源探査に役立てようというものだ。光と電波を使うタイプがあり、光学衛星は地表の細部の観測にすぐれる一方、レーダー衛星は雨天や曇天、夜間にも観測できるという特徴がある。
経産省は08年度から、11年度の完成を目指して400キロ級の光学衛星開発を進めていたが、新興国から「光学とレーダーの衛星をセットで持ちたい」という要望が多く、レーダー衛星の開発にも着手した。大型衛星並みの性能を目指している。
価格は光学衛星が約50億円、レーダー衛星は80億〜90億円。超小型の光学衛星は20億円程度に価格を抑え、途上国向けの「入門機」として売り込む。1〜2トン級の大型衛星が主力で、価格は1基で数百億円もかかる欧米メーカーとの差別化をはかる。
経産省は原子力発電などの「インフラ輸出」の一環として、年間5〜10基の人工衛星の輸出を目標にしている。