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発信箱:世界一のカラダ=福本容子(論説室)

 「ミソ・スープってどこで買えるの?」

 イギリスの新聞デーリー・テレグラフ(電子版)の読者相談欄でそんな質問を見つけた。「ワガママ」というラーメン店でみそラーメンを食べて以来、みそ中毒になったそうだ。職場の近所にワガママがないので、どうしたらいい、という内容だった。

 ワガママとは、イギリスを中心に世界展開中のラーメンチェーン。始めたのは日本人ではなく香港出身のアラン・ヤウさんだ。日本人には???な味。しかも1000円はするお値段だけど相当人気なのだ。

 その裏には、日本食=おいしくて健康的でダイエットに最適、のイメージがある。実は、日本人が思っている以上に日本人は「細身」で評判。データの裏付けだってある。経済協力開発機構によれば、肥満の人口比率で日本は先進30カ国の最低だ。肥満1位のアメリカの10分の1しかない。

 そのアメリカでは、肥満のせいでかかる医療費が年間十何兆円だというから、見栄えとかの問題を超えている。で、細身の日本人が食べているはずのみそや魚やおコメをもっと食べたら減量できるかも、と日本食に関心が向いている。だけど、そのニーズに日本はちゃんと応えられてるかな?

 一方、年明けの米経済紙ウォールストリート・ジャーナル。細身の日本人がなんでわざわざ高カロリーの巨大ハンバーガーを食べる?という記事があった。本国アメリカのマクドナルドさえ健康を意識してサラダを10種類も用意しているのに日本は逆。そのせいか、日本でも肥満人口が増えている、と心配してくれていた。

 ご先祖のお陰で授かった健康でスリムな体。これをウリにしないどころか、世界の人のあこがれを自ら手放すなんてダブルでもったいない。日本にはものづくりや新幹線以外にも宝があるのよ。

毎日新聞 2011年1月21日 0時01分

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