転落「六本木の巫女」…逮捕は予言できず

　架空の投資話で顧客から金をだまし取ったとして、福岡県警は１５日、詐欺の疑いで福岡市早良区の投資コンサルタント会社「夢大陸」社長原千春容疑者（５５＝福岡市中央区）と、元役員岩田賢二容疑者（５７＝同）、元社員２人の計４人を逮捕した。

　県警は、夢大陸が２００５年８月から昨年４月にかけ、３０都道府県の約４００人から少なくとも約６７億円を集め、うち静岡県の女性（７７）は約２億１０００万円を支払っていたと明らかにした。運用実績は一切なかった。

　県警は、原容疑者らが集めた金の８割に当たる約５４億円を「満期償還金」の支払いに充てて運用しているように装い、約８億円を生活費やブランド購入などのため私的に流用、約２億円を会社の運転資金に回したとみて全容解明を急ぐ。今後、組織犯罪処罰法（組織的詐欺）の適用も視野に捜査を進める。

　原容疑者は、買収した福岡市のコミュニティーＦＭ放送局の番組で「六本木の巫女（みこ）」と称して日本経済の悪化を“予言”。金融セミナーなどでも「日本の財政が破綻して世界は大恐慌へ転がり落ちる」「円は紙くず同然になる」と不安をあおり、興味を持った顧客に海外口座の開設や外国債の購入を呼び掛けていた。

　［2011年1月15日23時43分］