2011年1月14日22時12分
海外の有価証券の販売をあっせんするとうそをつき、全国の顧客から購入代金をだまし取った疑いが強まったとして、福岡県警は福岡市早良区の投資コンサルタント会社「夢大陸」の女性社長(55)を詐欺容疑で近く逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者などによると、社長らは数年前から顧客にフランス国債など金融商品の販売を仲介するとうそをつき、福岡を中心に全国の顧客から販売代金を夢大陸の口座に振り込ませて、だまし取った疑いがある。2005年以降、数百人から50億円近く集めたとされるが、県警は、実際には金融商品の購入に充てていなかったとみている。
県警は昨年4月、金融庁に無登録で金融商品の販売を仲介したとして、同社や関連会社を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで家宅捜索。社長や社員らから任意で事情を聴いた。同社が実際には金融商品を購入していなかったと判断、同5~8月には詐欺容疑でも家宅捜索した。
民間の信用調査会社などによると、夢大陸は01年設立で05年ごろから投資関係の業務を本格化。社長自ら「六本木と福岡を行き来する巫女(みこ)」と称し、同社が運営していた福岡市内のコミュニティーFMの番組に出演したり、東京や福岡などで金融セミナーの講師を務めたりしていた。「円は紙くずになる」などと主張し、関心を持った顧客に投資を呼びかけていたという。
同社に対しては、元顧客らが相次いで損害賠償を求める訴訟を起こし、一部では支払いを命じる判決も出ている。先月には、福岡など13都道県の男女約40人が約9億円の損害賠償を求める集団訴訟を福岡地裁に起こしている。