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【暮らし】

<セカンドらいふ>年男に聞く(下) ラジオパーソナリティー 吉田照美さん(59歳)

2011年1月19日

 「年男というと今年は頑張ってみようという気持ちになる。四十、五十の時はさほど感じなかったが、六十歳となると還暦で、やはり重い感じがある」

 ラジオの人気パーソナリティーとして活躍する吉田照美さんは、還暦を一つの節目だと思う。一方で「六十歳になると、六十歳なりの感慨があるのかなと思っていたけれど、気分的にはそんなふうになっていない」とも。

 長寿社会、芸能界を含め活躍する先輩は多い。「みんな実年齢を考えないで生き始めている気がする」と実年齢より意識上の年齢が若返っていると感じている。

 実は、人に語りかける仕事は「一番苦手なジャンルだった」。一人っ子で、会話が苦手。克服しようと大学のアナウンス研究会に入ったことが、きっかけになる。

 仕事を続ける一方で、「五十歳になったころ、ライフワークじゃないけれど、ずっと続けられるものはないかと考え、本当に好きなことは絵を描くことだと思い出した」。

 五十四歳のころ、近所に住んでいた歌手の八代亜紀さんに師事、本格的に油絵にのめり込んだ。今では個展も開く。五十代が転機だった。

 同年代は定年を意識する時期。男性は特に時間を持て余しがちになる定年後に、何をやるかを考える時期でもある。「やりたいことがあっても、『この年だから』とあきらめる人が割といるが、それはもったいない。やりたいことが今はなくても、あせらず、じっくり探す。探し続けていると、それだけでも何か得をしたような気持ちになる」

 四年前から早朝六時からの情報番組を担当。起床は午前三時半。絵を描いたりして、就寝が午前一時すぎになることもある。

 どこでも寝られる特技で、体調に問題を感じていない。「疲れが取れにくいというのは如実にある」と実年齢を感じつつ「健康診断は三年おきぐらい。駄目なときは駄目なんだろう」と達観するが、そうならないための「健康情報はすごく関心がある。記憶力にいいものとかサプリメント四種ぐらいを飲んでいる」。

 マイクの前では遠慮なく率直に語る。三十代前半には、服飾店経営に二度挑戦するなど度胸十分に見えるが、「根っこは、気弱な性格」だそうだ。

 「意外と調子に乗るタイプだけど、調子に乗ると、大体ろくなことがなかった。気弱さがブレーキ役になるから、人間気弱なぐらいがいいのかな」と笑う。

 四年目になる担当番組ではニュースも多く扱い、風刺画「ニュース油絵」も描く。日本の曲がり角と感じつつも、日々向き合うリスナーらの声から、「『世の中はお金だけじゃない』と、みんな思い始めている時代に向かいつつある」と感じている。

 就職難が続き、閉塞(へいそく)感が社会を覆うが、将来への不安や心配はいつの時代でもあると言う。

 「すばらしい人たちの本を読み、映画を見ることで、いろいろな知恵を授かる」と先人の生き方を学ぶ姿勢の大切さは、年を重ねてきてさらに強く思うようになった。そして同時代を生きる人たちにこうエールを送る。

 「自分が今何をやりたいのかを見つめ、幸せになることをひたすら考え、半歩でも、三分の二歩でも、前に進むことを考えることが一番大事」 (飯田克志)

 よしだ・てるみ 1951年東京都生まれ。アナウンサーとして74年文化放送に入社。深夜放送「吉田照美のてるてるワイド」などで人気パーソナリティーに。85年にフリーとなり、テレビなどに活躍の場を広げる。現在は「吉田照美 ソコダイジナトコ」(文化放送)などに出演。絵画だけでなく、パーソナリティー仲間との音楽ユニットも展開するなど多彩な活動を続ける。

 

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