2011年01月16日

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リアル右翼「愛国の作法」

ネット右翼に告ぐ

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編集部 藤生 明


 尖閣諸島沖での中国漁船による衝突事件があった昨秋、中国大使館近くでは、市民団体が抗議の声をあげていた。

 抗議をしていたのは、在日韓国・朝鮮人らの特別永住資格などを批判する「在日特権を許さない市民の会」(在特会)。ネット上で過激な書き込みをする「ネット右翼」の人々が掲示板の告知をみて、デモや集会に集まることで知られる団体だ。

 事が国家の主権にかかわるだけに、抗議したいという思いは理解できるとして、ネットにアップされた当日の映像を注意深く見てみると、「大人の世界」では日常使われない野卑な言葉が耳につく。

 シナ人(中国人の蔑称)、ゴキブリ、ブタ小屋、便所のウジムシ......。それらが、彼らが繰り返し使っていた罵詈雑言の数々なのだが、当事者は差別とも排外とも考えていないようだ。

  保守系市民団体の主張が「過激さ」において右翼を乗り越えたとも言われる昨今、体をはってきた右翼の人々は何を訴えているのか、聞いてみたくなった。

 今月上旬、土曜午後の新宿駅東口広場。広報宣伝用に改造された車が路肩にとまると、「尊皇絶対」「朝敵撃滅」などと書かれた団体の旗と、日の丸が手際よく立てられていった。皇居遥拝、国歌斉唱に続いて、演説を始めたのは民族派「國の子評論社」の横山孝平社主(46)だ。

 横山氏は冒頭、菅直人首相と遭遇した初詣にふれて、「左翼の菅直人さんであれ、共産党員であれ、お正月には神社仏閣に初詣をする。日本の神々はすべてを包み込む」と語った後、話は尖閣や竹島、北方領土といった核心へ。ただ、声を荒らげたりすることもなく、こんな論法で持論を展開した。

「憲法9条において戦争を放棄するというのはあながち私も否定する論をもちません」「確かに戦争は憎むべき悪です」

 それでも現実に弾が飛んでくれば自衛する手段を持たなくてはいけない、祖国が滅びてしまうとなれば話は違ってくるでしょう──と言い、「今こそ、自分たちの思想に基づいて祖国を守る手段をもつ。そうした時期にきているのではないかと思います」と締めくくったのだーー。

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