北朝鮮産農産物や魚介類、中ロ産と偽り韓国搬入(下)
中国船籍の2隻がロシア産ホヤ66トンを運搬、束草税関で北朝鮮産かどうかを調査中
最近は北朝鮮の外貨稼ぎが一層難しくなっていることから、北朝鮮産の農産物や魚介類が中国産やロシア産に偽装される可能性がさらに高まっている。北朝鮮と取り引きを行っているある事業者は、「経済制裁を受け、北朝鮮は中国との国境地域周辺で自国の農産物や魚介類を中国産に偽装し、韓国に販売しようとしている。ドルを手に入れるために、北朝鮮も必死になっているのだ」と話す。
北朝鮮は韓国に対する農産物や魚介類の販売で、外貨を稼ぎたいところだが、合法的な取り引きを行う方法はない。中国は韓国よりも取引先としては大きいが、韓国ほど高値では売れず、運送費も多くかかる。
韓国に農産物などを販売して稼いだドルの多くは、北朝鮮の統治資金、具体的には金正日(キム・ジョンイル)総書記や金正恩(キム・ジョンウン)氏による体制の維持に使われているものとみられる。
北朝鮮の統治資金は大きく内貨と外貨に分けられるが、農産物や魚介類など海外との貿易取引で稼いだ外貨は、その中でも重要な部分を占めている。
外貨を稼ぐための源泉となる魚介類やマツタケは、軍など特殊な機関が独占しているため、稼いだ外貨が北朝鮮住民のために使われることはほとんどない。
かつて北朝鮮で金日成大学の教授だった対外経済政策研究院の趙明哲(チョ・ミョンチョル)博士は、「北朝鮮は手にした外貨を、まずは住民の生活のために使うべきだが、実際は統治のために多くの資金が使われている。幹部に分け与えるプレゼントの費用や、高級住宅を建設するなど、住民の生活にとって不必要な使い道ばかりだ」と話す。
趙博士は「現在、北朝鮮は後継体制を早期に安定させたいと考えており、そのためには住民の不満を和らげるための費用を捻出しようとあせっている。会談の開催を求めているのは、自国産の商品を販売する目的もあるはずだ」と語った。
束草=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者