北秋田市議会は18日の臨時会で、4月から森吉地区に設置される無床の市立米内沢診療所の開業に伴う条例一部改正案を賛成15、反対10で原案通り可決した。同診療所は、3月末で解散する北秋田市上小阿仁村病院組合と、業務が終了する公立米内沢総合病院に代わって設置される。
市側の提案説明後の質疑で、療養病床を備えた現病院の存続を求める議員らは、診療所化反対を唱えた。これに対し津谷永光市長は「組合解散で病院がなくなれば困る。診療所化することで外来患者に対応でき、療養病床については市民病院に設置。患者も市民病院に移ることになる」などと答弁。板垣淳氏(共産)が「患者や家族の混乱を招く」などと反対討論後、無記名投票の結果、賛成多数で可決した。
この日の臨時会には、副市長を2人制とする条例一部改正案と、運営会社からの無償譲渡の申し入れを受け、4月から森吉山阿仁スキー場を市営スキー場とする条例改正案も提案された。副市長2人制について無記名投票の結果、賛成16、反対9で、阿仁スキー場の市営化は全会一致で可決した。
津谷市長は、副市長2人制について「事務全般と指定管理など特命事項に分け、仕事をしてもらうことになる。3月定例議会前に選任したい」。阿仁スキー場については「無償譲渡に加え、運営会社から市に2000万円の寄付を受けることになった」と説明した。【田村彦志】
市立米内沢診療所設置に関する条例一部改正案が可決されたことについて、米内沢総合病院の存続を求めてきた住民団体「地域の医療を守る住民の会」(成田陸雄代表世話人、525人)の間から「このままでは地域医療が崩壊しかねない」と不安の声が上がった。
会員らは市議会の審議の模様を傍聴席とモニターで見守った。条例改正案が可決されると、米内沢総合病院の60代の元看護師は「病院がなくなるなんて信じられない」と怒りを隠さなかった。市中央公民館で開かれた緊急集会では「市長は診療所ができなくなれば、あれもこれもできなくなると宣伝した」などと反発、運動の継続と病院職員の再就職問題に取り組んでいくことことを改めて誓い合った。成田代表世話人は「今後の具体的な方針はこれから協議するが、不安のない地域医療を求め、あきらめることなく運動を続ける」と話した。
一方、津谷市長は「反対票があることは疑問があるということだと思うので、より一層地域医療の充実を図っていきたい」と語った。【田村彦志】
毎日新聞 2011年1月19日 地方版