経済・IT【主張】春闘始動 雇用創出へ労使は知恵を2011.1.20 03:13

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【主張】
春闘始動 雇用創出へ労使は知恵を

2011.1.20 03:13

 日本経団連と連合のトップ会談が開かれ、今年の春闘交渉が事実上スタートした。

 給与総額の引き上げを求める連合に対し、厳しい経済環境を理由に定期昇給(定昇)の維持にとどめたい経団連の守勢は堅い。これでは例年の賃金配分をめぐる攻防に終始し、働き方の多様化などを含めた雇用面の具体的な協議には入れないのではないか。

 雇用創出は日本経済の喫緊の課題だ。この点でも労使が知恵を出し合い、実質的な成果に結びつく道筋を描く必要がある。

 平成20年秋のリーマン・ショックからはようやく抜け出た日本経済だが、デフレと円高で企業の先行き不透明感は拭えていない。完全失業率も5%台で高止まりし、雇用情勢は一進一退だ。企業は国内の設備投資を手控え、新規雇用にも慎重姿勢がうかがえる。

 今春闘で連合は、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)要求は断念したものの、一時金などを含めた給与総額の1%上げを求めている。経団連では年功に応じて毎年昇給させる定昇は、従業員の年齢構成が同じなら賃金総額は変わらないため容認の構えだが、給与総額の引き上げは国際競争力の低下を招くと反対している。

 このままでは来月から本格化する個別企業の労使交渉も平行線をたどりそうだ。連合が求める給与総額の引き上げには、その原資として利益の確保が欠かせない。交渉では少子高齢化が進む日本でいかに企業の成長を確保するかの視点が労働側にも求められる。

 経団連が主張する国際競争力の強化にあたっても、社員の能力を発揮できる仕組みが必要だ。そのためには短時間正社員などワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現する多様な働き方を労使で検討すべきだろう。非正規社員を含め、働く人全体の利益を考えた交渉が問われている。

 今春卒業予定の大学生の就職内定率は、昨年12月1日時点で過去最低の68・8%にとどまった。新卒採用の抑制や学生の大企業志向などが要因に指摘されるが、新卒者の働く場所を確保・創出するための労使協議が不可欠だ。

 大学を出た若い世代が職に就けない事態は社会的な損失でもある。政府もハローワークを使った就職支援などを進めているが、労使による雇用創出の取り組みを後押ししなければならない。

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