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ぬこぬこな俺さん、RAGUNAさん、ソルバ13さん、ビウィグさん、水川さん、たぬきさん、卓朗さん感想ありがとうございます。
作者はまだがんばれます・・・メイビー
動き始めた世界


「赤字だな」

「赤字ですね」

「赤字ですな」

本社会議室にて今月分の業務報告書を前に唸っているのは、滝錬太郎、橘京、風間育郎の三人である。


「風間さん、俺は確かに全て任せると言ったが利益を出せなくなってもいいとは言ってないよ」


報告書には月々での部門毎の収支結果が記されている。

先月までは用意の成績を残していた警備部なのだが今月に入って急激に成績が落ち込んでしまったのだ。

理由は世界中に存在する『魔法協会』である。

警備部が裏の仕事で魔法を使用している事に感づき我々の周辺を嗅ぎ回っているのだ。

その為、仕事の後の事後処理にたいしての費用が掛かっているのだ。


それだけお金をかけた甲斐あって向こうにはまだうちの会社の存在はバレてはいないようだがそれも時間の問題だろう。

錬太郎の言葉に肩を落としながら風間が答える

「申し訳ありません社長、魔法協会がこんなに早く動くとは・・・。ですが安心してください。

今後このような事は起きません。」

風間に続き京が口を開く

「報告が遅れてしまいましたが、既にこの件に関しましては対策をとっております、
 その結果として既に世界各地の代表の方々から返信が届いております。」

二人も遊んでいたわけではない。魔法協会の動きに合わせて此方も動き始めていたのだ。

「代表?何の話だ?」

「私が行ったのは策というほどのものではありません。

ただ単に世界各地の魔法結社に同盟の呼びかけを行ったのです。

現在、真に遺憾ながら魔法協会は世界中に勢力を伸ばしております。

表向きは世界各地の結社も協力的な姿勢を見せてはおりますが、それ以上に不満を持った人間は多いのですよ。

いきなり自分の土地に来て協力体制を敷くように言われても納得なんて出来るわけないでしょう?

魔法協会は長い年月をかけて勢力を伸ばしていたようですが、『国家』、『人種』、『思想』の格差と言うものは数百年の年月で埋められるものではありません

からね」

京の答えに珍しく難しい顔の錬太郎

「つまりそういった不満を持った奴等を手を組むと?」

「そうです。条件として


・同盟に参加した結社は互いの勢力圏への過度の干渉を控える事


・他の組織が勢力を無理に伸ばそうとした場合加盟している組織は鎮圧に当たること


・其々の魔法を財産として認識し、絶やさぬよう協力し合う事


の三つを出しておりますが、これには全ての結社が納得済みです。


そして前提条件として、『魔法協会の排斥』があります。

これはあくまで協会の排斥であり、魔法使いの排斥ではありません。

此方の同盟に参加する魔法使いの結社も非常に多いですからね。」



簡単に言うが実行に移すとなれば難しい話である。しかし彼女達は見事まとめあげて見せたのだ。

風間育郎、橘京は間違いなく優秀な人間なのだろう。



「一つ聞きたいんだが、既に動いているんだな?」


「はい、因みに本日午後から各地の代表との顔合わせが御座いますので出席してくださいね?」


「だが断る」


そこに先ほどまでの緊迫した空気はなかった。錬太郎が空気に耐えられなかっただけなのだが・・・。


「・・・・・・お願いします」


「いやで御座る」


「・・一応理由を聞きましょうか、」


「・・・・ぶっちゃけ俺じゃなくてもよくね?魔法はろくに使えないんだし風間さんの方がいいだろ」


「いや俺じゃだめなんですよ、社長じゃなきゃ周りが納得しない。」


「なんでよ、俺は何もしてないでしょうに」


「いいですか?社長は我々が出来なかった事をやってくれたんです。我々裏の人間居場所を与えてくれて職もくれた。

警備部が仲介所として活動し始めた事で世界各地の魔法結社が勢いを取り戻していったんですよ。

他の誰でもないあなたがいたからこそ私たちは今ここに自信を持って立っている事が出来るんです!!」

事実として魔法結社でも錬太郎に対しての評価は非常に高い。

警備部の活動に関しては錬太郎ではなく京の指示で行っていたことなのだが、

他の組織から内部の事がわかるわけもなく、ましてや社員の中でも勘違いしているものが多いのだ。

そうなれば錬太郎の評価が上がるのは当然と言える。

「・・・・・・はぁ、わかったよ出ますよ出ればいいんだろう、チクショウ(泣」

「納得していただけたのなら結構です。」


「あーそうかい。

そりゃよかったな、・・・・・所で一つ気になったんだが魔法協会はうちの人間を追いかけまわしてんだろ?

その経費はどっからでてるんだ?馬鹿にならない金額のはずだぞ」


「・・・恐らくは雪広グループでしょう。

関東魔法協会が存在する学園都市は常識的に考えてありえません。それなのにどのメディアにおいても一定レベル以上報道される事はない。

メディアに規制をかけられるだけの力を持ちながら、学園の維持を行うとなると間違いなく大きな企業がついています。

その中でも有力なのが雪広グループです。学園都市内部の事業のほとんどを雪広グループが行っています。

企業としての利益を条件に何らかの取引を行ったのではないでしょうか。

政治家の中にも魔法協会の域の掛かったものが何名かおりましたから。

まぁ記憶操作の可能性も十分にありえますがね。

そちらの方も私に任せてください。何とかして見せます。」

「ん、ならまかせるよ。頼んだよ京」

錬太郎の言葉に笑顔を返す京、彼女にとって錬太郎からの信頼は何よりも価値あるものなのだ。

ただ彼女に任せた事で雪広グループは碌な目に合わないのは決定済みだろう。

しかしそれはまた別のお話・・・・



side<滝錬太郎>

報告書には所々に『魔法協会』の名前が見える。関りたくなかったのに結局関る事になってしまった。

報告会議なのに俺を無視して話が勝手に進んでいく。

しかも同盟ってなにさ、全然聞いてませんから!!

「既に動いているのか」と思わず聞いてしまったが自信満々に頷かれた・・・・・・。

この二人が勝手に何かしでかすのは慣れてきたがこれは無理。

今から出席しろとか俺に全て丸投げだし、俺の死亡フラグが次々に積み重なってゆく。

・・・・・ここって本当に俺の会社なんだろうか??





見直す暇がありませんでした・・・・。
関東魔法協会sideの話を書くはずだったのにそこまで行きませんでした
次回に持越しです

私のHPはもうゼロよ・・・