2011年1月19日21時42分
【ソウル=牧野愛博】米韓両政府は昨年末から、外交チャンネルを通じて、韓国による弾道ミサイル開発を制限する「米韓ミサイル指針」の改定作業に入った。関係軍事筋が明らかにした。北朝鮮の脅威に対抗すると共に、日米韓の弾道ミサイル防衛(BMD)体制構築の環境を整えるため、韓国のミサイルの性能向上を目指すとみられる。
韓国の弾道ミサイル開発は、米国の技術提供を受ける条件として射程300キロ以内、弾頭積載重量500キロ以下に制限されている。韓国は代案として巡航ミサイルの開発を進めているが、破壊力が弱く、迎撃される可能性も比較的高い。このため北朝鮮全土が入る射程500〜千キロ程度の弾道ミサイル開発を望む声が強い。
韓国政府は2009年4月の北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を受け、米国に非公式に指針の改定を申し入れたが、朝鮮半島の緊張が高まることを懸念した米国が協議に応じていなかった。
ただ、最近はゲーツ米国防長官が11日、北朝鮮の核と弾道ミサイルが米本土への「直接の脅威」になりうると強調するなど、北朝鮮ミサイルへの懸念が強まっている。韓国が慎重な態度を示している日米BMD体制への参加を促す狙いもあり、指針の改定作業に応じたとみられる。