(2009年9月10日更新)

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≪「日本国のリデザイン」のための情報整理中≫

(一部の研究員有志によるもの)

■■■ ランチの間 ■■■

 当『ランチの間』ページに、私たちJRI 日本総合研究所の研究員がほぼ毎日のランチの時に用意したメモを記したいと思います。
 なお、当ページのメモ(コンテンツ)については、最終的な掲載前に新保豊[理事・主席研究員]が精査(+若干の編集)をしています。
 その件で特段のお問合わせがある場合には、shimbo.yutaka(X)jri.co.jp までお願い致します。eメールでのお問合わせでは、「X」印を「@」に替えて下さい。 


市場経済に馴染まない食・農畜産業・水資源の抜本的な解決

■【食・農業】日本の農業構造と農地法改正

≪担当者のメモ≫山近紀行〔2009年8月5日(水)〕

日本の食の安全や、食料自給率の問題が言われているが、日本の農業においては農業従事者の高齢化、農業人口の減少が大きな問題であろう。

農業所得の向上のためには現状の少ない労働投入量で効率を上げることが必要であり、農地の利用集積の効率化が求められる。

農地の利用集積による集落営農など、農業の効率化に対する取り組みが行われているが、近年、耕作放棄地が増加傾向にあり抑制要因となる可能性が高い。

耕作放置により荒廃した土地を農地として再生するためには多くのコストがかかるため土地の再利用が進まず、農業離れを加速させる要因となりうる。

相続などが行われず、地主が不在となってしまい、耕作放棄地となってしまった農地には手をつけられないという問題がある。

農地法の改正、耕作放棄地に対する「耕作放棄地再生利用緊急対策」が農林水産省から発表された日本の農業に関して、何に重点的に取り組むべきか議論を行いたい。

≪農業総算出額、経営耕地面積(耕作放棄地面積)の推移≫

農業総産出額は1980年代後半の12兆円規模をピークに減少傾向にあり、2005年では8兆円程度まで低下している。

日本のGDP約500兆円に対し、1.6%である。

【図表】 農業総算出の推移

(出所)農林水産省「農林水産統計」を基に日本総合研究所作成

経営耕地面積、総農家数は減少傾向にあり、耕作放棄地面積が増大傾向にある。

農業面積の減少や農業従事者の減少・高齢化により、農業構造が脆弱化している。

農地縮小の理由として「高齢化で労働投入量が低下」、「農産物価格や単位面積あたりの収益の低下」が挙げられている。

農地の拡大理由の上位に「農地を引き受けてほしいとの依頼」、が挙げられており、農業従事者の減少が経営主の高齢化、販売額の低迷、後継者の不在問題と共に、規模の縮小を加速化させている。

【図表】 日本の農業構造と農業経営の動向

(出所)いずれも農林水産省ウェブページから抜粋

【図表】 経営農地面積と耕作放棄地面積の推移

(出所)農林水産省「農業センサス」を基に日本総合研究所作成
≪平成の農地改革≫

農地は、最も基礎的な生産要素であり、農業経営の重要な基盤である。

農業構造のぜい弱化が進むなか、担い手への農地の利用集積が進んでいるものの、農地が分散している場合がみられ、その場合は効率的な経営が困難な状況である。

農地は農業に必要な資源として有効に利用されなければならないという理念のもと、農林水産省は2009年6月に農地法を改正し、農地に関する政策を総合的に見直し、順次具体化する予定である。

農地に関する情報を地図情報として一元化し、データベース化

農地の権利を有する者の責務の明確化

農地利用状況調査、指導を徹底

耕作放棄地の解消に向けた取組を展開

全ての耕作放棄地を対象に是正のための手続きに直ちに入れる仕組みに変更

所有者不明の土地は、保証金を供託し、利用を図る措置を新設

転用規制の強化等、優良農地を確保するための措置を充実

病院や学校などの公共施設への転用に関しても協議

農地の面的集積を促進

公的機関が農地の貸付に関して委任を受け、農地を面的にまとめて貸付

所有から利用への転換を図り、農地の有効利用を促進

農地貸借の規制を緩和し、多様な主体が参入可能

農業協同組合による農業経営が可能

農地の利用集積は、賃借権等の利用権の設定が件数・面積とも大きな割合を占める。

2007年産から新たな経営所得安定対策が導入されることとなっていたため、従来の増加ペースに比べ大きく伸長した。

【図表】 農地の利用集積の促進に関する権利移動面積の推移、利用集積が進まない理由

(出所)いずれも農林水産省ウェブページから抜粋

縮小する農業経営からの変換を実現するための対策として、集落営農の組織化などが挙げられる。

担い手が経営する農地面積が全耕地面積に占める割合は4割であり、「農業構造の展望」で見込む7〜8割程度に向けて、担い手への農地利用集積のさらなる加速化が必要な状況である。

担い手への農地の利用集積が進まないのは、農業所得や農産物価格が不安定といった経営環境のほか、経営する農地が分散していること、集落内に担い手がいないこと、農地の資産保有意識が強いことなど、様々な要因が複合的に関係している。

米の生産に関しては、作付面積が大きい農家ほど効率が高い。

集積が進んでいない中山間地域、区画未整理の田を多くかかえる農家、団地数の多い農家ほど効率が低いという傾向がある。

≪耕作放棄地再生利用緊急対策(2009年度〜2014年度)≫

耕作放棄地の再生や再生農地を利用する就農者、必要な施設の整備まで総合的・包括的に支援を行う。

再生利用活動に伴う費用の補助

土壌改良に必要な費用の補助

就農研修への補助

施設等補完整備への補助

国・地方公共団体、関係団体等の連携を円滑にし、耕作放棄地の削減に取り組む。

耕作放棄地は、農地として再生するために初期費用が必要であり、放棄されている期間が長いほど費用がかさむため、土地が存在していても再生を積極的に行う事業主が現れないという課題がある。

地主が不在の場合、資産価値のない土地の所有権移転が行われない。

また地主が不在場合土地改良事業の合意形成を阻害するなど、農業以外の土地利用一般について費用の増大につながる。

【図表】 経営所得安定対策の見直しのポイント(参考)

(出所)農林水産省ウェブページから抜粋
≪所感≫

日本の農業の発展には農業の魅力的な事業モデルの構築、需要の喚起が必要であろう。

食料自給率の向上には昔と比べ多様化した日本人の食生活に合わせた作物を、安心・安全などの信頼性と合わせて生産した場合のニーズはあるのではないか。

経営と生産の分離により、家族経営が主であった日本の農業を収益性の高いモデルに変更し、労働力の確保を行うことができるかも重要なポイントになるのではないか。

集落営農を効率的に進める制度作りが必要ではないか。

自治体や企業と連携して、インターネットを介した消費者との個別契約や観光地における直売所の設置など、販売形態の多様化による付加価値化などの支援なども考えられる。

急激な農業構造の変化が起こるとは難しいと考えられるため、耕作機械への補助など直接的な作業負担の軽減の他に、農業従事者の負担を減らす仕組みづくりも必要ではないか。

≪討議内容≫

日本の農業というマクロ的な視点だけでなく、ミクロ視点と併せて考える必要があるだろう。

日本全国の農地を対象にした取り組みも必要であるが、農業構造の改革の突破口としてミクロ視点の発想も必要であろう。

都市部から近過ぎず遠過ぎない1時間から1時間半程度の時間距離を範囲とした地域経済の中の農業の活性化〔創発戦略センター三輪副主任研究員〕という視点は興味深い。

兼業農家は農業の他に生活基盤を有しているので、農業で成形を立てようとしていないという状況があるのではないか。

政府は、食料自給率の向上や食の安全などを掲げるのならば、農業のビジネス化まではいかなくとも農業が魅力的な産業となるようなインセンティブを働かせる仕組みづくりが必要なのではないか。

助成金を交付するとしても、交付基準なども慎重に行う必要性があるだろう。


■【食・農業】「次は農業」ブームへの警鐘

≪担当者のメモ≫今井孝之 〔2009年3月10日(火)〕

「ずさんな農地行政が農業の自壊を招く」(日経ビジネスオンライン、2009年2月24日、3月3日)の紹介。

(注)神門義久氏(明治学院大学経済学部教授)への吉田鈴香氏(ジャーナリスト)によるインタビュー記事。以降は主に神門氏の主張。

「次は農業」ブームに対する憂い。簡単に政策提言が書けることにワナあり。虚構の農政論議。

3つのワナ:論理が単純明快、共通する欠点は事実と異なる。農業にノスタルジーを描き過ぎてはだめ

「規制にしがみついているJA(全国農業協同組合)と農水省をやっつければ、農業は活性化する」:両者は規制にかじりついていない、何が起きても「投げっぱなし」。産廃業者が漁夫の利

「農業には秘められたビジネスチャンスや、世知辛い現代社会が忘れた価値があり、農業の新たな価値に目覚めた人が確実に増えている」:特段、新しい動きではない。40年くらい前から行われている「契約栽培」と同じ。ファーストリテイリング(ユニクロ)事業撤退、ワタミ事業縮小が現実。事業者の試みが間違っているわけではなく、メディアが大騒ぎするのが問題

「食糧危機が来るかもしれないから、皆で自給率を上げよう」:ここ数年の穀物価格の急騰も短期変動の範囲内。世界全体で食料絶対量は足りている。自国の食料危機のみを問題にするのは先進国のエゴ。

「消える農地」、「偽装農家」:より重要なのは大変な不正が起きていること。農地と労働で違法・脱法行為が急拡大。転用規制も税制も法律の条文は無視。

耕作放棄して雑種地になっていても農地と称して相続税逃れ。ダミー農業生産法人の農地買い漁り。

優良農地の違法転用(地権者が「濡れ手に粟」)、耕作放棄の蔓延、稲作で農業の体裁を整えながら農地を売りぬけようとする「偽装農家」、産廃業者の参入

消費者が王様に:生産現場が何に悩んでいるか分かっていない。良心的な流通業者はつぶれそう。

まずはどれくらいいいかげんなことが行われているのか洗いざらいにすべき。

農地基本台帳と実態が全然あっていない

「減反」の議論は既に終わっている:文字通りの減反制度は終わっている。コメの生産調整は2004年に選択制に移行。生産調整の基準は作付面積ではなく生産量。農家の自由意思で生産調整に参加した場合、稲作以外の作付けに助成金がもらえる代わりにコメの出荷制限を受ける。

現下のコメ政策の最大の問題は農水省が運用の仕方をコロコロ変えてしまうこと。政府買い上げをやめたりやったり。真面目に農業する人たちが被害。政治力の強い偽装農家に利益がもたらされる

適切な国土利用で大きな利益のポテンシャル:今の日本の農業のGDPはマイナス(間接的な補助も含めて)、農業就業人口4%に見合った付加価値を生めば、GDP5%増も。

日本がリーダーシップをとってアジア型共通農業政策を提言すべき。金融、労働、教育などは欧米モデルがある。農業は自然条件が違うためモデルがない。日本の水田はすごい(連作障害が起きない)。

土地利用の策定や運用に「参加民主主義」を:現在はその真逆の「行政に投げっぱなしモード」。

海外へのオープン化(混住化、多様化)において農村は先進。外国人労働が常態化。

地域の土地利用計画の策定・運用・監視を、市民の責任分担で実行する「モデル農村」から全国伝播。

まずは実態把握が必要:農地基本台帳はデタラメ

政策提言する怖さ:提言実行で死に追いやられる人も。不正発生メカニズムへの具体的対策をセットで。

「減反解除で米価低下、大規模農家に限定した所得補償」という教科書的な提言:結果として「偽装農家」を利してきたという農政の実態。

「農商工連携」:地域商工組合とJAが補助金を取る口実。

農民ではなく農地に補助金を:補助金を人に払う限り、「票を買う」ことにつながりかねない。

何年もかけて設計したコメ政策が、自民党が参院戦で負けた途端に瞬時にして別のシロモノに。

土地の特徴を考えて、付加価値が生まれやすい土地の利用方法、利用計画を立て補助金を。

政策提言の前に行政監視を:不用意に規制緩和、企業参入と言うと、偽装農家や産廃業者の都合のよいように捻じ曲げられかねない。

具体的な問題:農地、ミニマムアクセス米、食肉の差額関税。

≪感想および考察≫

農業を過剰な期待を抱く風潮に警鐘。率直に知らない情報もあり興味深かった。

「消える農地」、「偽装農家」、産廃事業者といった実態に対する危惧、真のデータ整備の必要性、市民参画型計画・運用等を主張。

米作が議論の中心。

“儲かる農業”論調は米作以外が中心のように感じる(農業の効率化、企業化は別途検討すべきか)。

個人的な感想として、「3つのワナ」という論の立て方は面白かった。が、必ずしも、現在の論調が全て間違っているとも言い切れないと感じた。

最終的に言わんとする主張、何をなすべきか(What)はそれほど変わらない印象。実態を認識せず、過度な期待してしまうことを危惧し、具体的にいかになすべきか(How)が重要という主旨か。

本テーマに関して様々な情報が溢れる中、論点および情報を整理して考察を深めていくことは有用だろう。

農業の運営主体(個人/法人、専業農家/兼業農家〔特にコメ〕)

農地の活用状況

雇用の実態(もともと農家世帯人/新規就農者、外国人)

農業の産業化・企業化(農業生産法人、メーカー・流通の川上統合、地元企業、異業種参入)

関係諸団体の思惑(政府、農協、自治体、市民、他事業者(産廃等)、国外関係者)。

食の安心・安全(食料自給率、消費者意識、偽装問題、等)はどう取り扱うべきか。

≪討議内容≫

本来的な意味での食料自給率の問題については、マクロな視点を持って、別途、検討する必要があるだろう。

小売・外食、加工食品メーカー等を含めた流通構造、関税・助成金の意義、等。

食料は本来的に地域固有のもの(身土不二)。先進国の中でも日本の自給率は低い(原油の輸入停止となれば、自給率は1%もないと言われている)

スイスで行われている農地に対する補助の仕組みは参考になるのではないか(神門氏の主張にも近い)。

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≪参考≫「農業がニッポンを救う 楽しみながら儲ける!日本のファーマー大変身」(『週刊ダイヤモンド』、2009年2月28日号)の紹介。

有望な雇用先、安全・安心の国内回帰、ビジネスチャンス。人間の本能として自然のなかで働きたい。

“未開拓な農業”が日本の成長源泉:小規模経営、生産者の高齢化、非マーケティング志向で儲からない。課題は伸びしろにも。

全国で急増する就農希望者、農業が新たな雇用を創出:規模の経済が効く、分散農地を貸したいニーズ。

脱サラ「農業入門」:生計成り立つ新規就農者は4割、熱意で苦労乗り越える。支援機関の有効活用、就農候補地で人脈づくり。

儲ける農業経営者、急成長:私募債発行による資金調達、ブランド販売、農作業のコンピュータ管理、豪州へのコメ輸出。地元スーパー、自治体、農家3者連携による地域活性化。

企業参入で農業は活性化する:食品(カゴメ、キューピー、カルビー)、流通(H2Oリテイリング(阪急百貨店)、パルシステム、イトーヨーカ堂)、外食(モスバーガー)。

「平成の農地改革」は実現できるか:農協、族議員、農水省の権力構造。

減反はカルテル。省力化したコメ策で兼業、減反政策で安定収入(数の上で多数派の兼業農家が減反廃止を支持しない)。


■【食・農業】農業分野の雇用および産業のあり方

≪担当者のメモ≫今井孝之 〔2009年2月27日(金)〕

「介護、農業をバカにするな 雇用創出の嘘」(WEDGE、2009年3月号)の紹介。

「まやかしの現代版ニューディール」:現実無視の雇用創出構想。

政府は、介護、農業・林業などの各分野において、2011年までに160万人の雇用創出という計画、民主党は250万人の雇用創出を検討

介護、農業の脆弱すぎる産業構造、産業として成立していない。加えて人々の労働観の変質。

「介護は期間工じゃない」:

「介護業界の抱える構造的問題」:他業種からの転職者は定着しにくい。「休眠」介護士が多数存在(20万人)。背景は低賃金で過酷な労働条件。

「雇用の調整弁にするな」:「休眠」介護士が多数存在するのに一時的な新規取得援助でよいのか。

「介護技能の社会的認知向上を」:危機感を社会全体で共有し利用者負担や公費負担上昇を国民レベルで合意すべき。

「必要なのは就農ではなく離農」:不安定な事業環境で新規採用は難しい。農家退出を促し市場縮小に対応せよ。

新規就農者は7.3万人(2007年)、半数が60歳以上(農家世帯員が退職後に就農するパターンがほとんど)、土地・資金を独自調達して始めるのは2%。

農林水産省が17億円を投じて行う就農支援事業、研修生受け入れ月9.7万円、1年間支援を1,000人対象。中心的役割は農業法人(2008年で約1.5万法人)。

神門義久氏(明治学院大学教授):国際競争力のない農業が農業生産から離脱を迫られるのは時間の問題。いま不用意な就農支援をすれば将来の失業予備軍を増やすだけ。

零細農家まで一律に保護する政策を改めて、優良事業者にこそ限られた補助金や農地などを経営資源が行き渡るよう市場環境の整備に注力すべき

農業のビジネスとしての可能性。渡邉美樹氏(ワタミ社長):農業を事業として成立させるためには労働生産性や人材育成などのマジメント力が不可欠、やっと黒字化できそう(2002年から農業参入)。

「製造業の弛緩と労働観の変質」:

「景気悪化で放置される製造業の構造問題」:輸出産業は“円安バブル”で生き延びてきた。本来なら円安による収益で現場力向上や人材教育に注力もできたが、非正規雇用の活発化、人材教育の過度な絞込み、極度なマニュアル化が起きた。結果、“ヒト”の“モノ”化、労働観の劣化。

「土台危うきモノ作り立国」:製造業では、雇用・設備リストラと新産業育成ばかりが議論されるが、支える人材の育成のあり方と、働く人々の労働観の再構築が必要。

介護、農業は腰を据えて仕事と向き合い、やりがいを感じられる人材を求めているため、“ヒト”を“モノ”化してきた製造業から放出される人材では適応できない。

≪参考≫「変容する労働観 働くことのあるべき姿を取り戻す」:働く目的で「お金のために働く」が34%から50.1%に上昇、それ以外の項目は全て減っている(内閣府『国民生活に関する世論調査』、1997年と2008年の比較)。

「続けるから得られる仕事の面白さ」:企業の要因(グローバル化、コスト圧力を受けた雇用調整柔軟化)と個人の要因(個人主義的価値観の拡大)。会社と個人の間の心の溝、両者の幸せな関係に終止符。

「世代間でつなげていく労働観という襷(たすき)」:今回の雇用危機が時代にあった雇用制度、職業意識を生み出す契機にになれば、介護、農業で見られるような雇用のミスマッチも解決の方向に。

感想等:今回は、農業について中心に議論できればと思う。

介護については以前の紹介記事と近い趣旨。

人材のミスマッチ。労働需要はあるが労働条件は改善されない。雇用調整弁と期待するのは問題。

考えられる農業のあり方、動き。農業の企業化論が現在の主流か。

農業の企業経営化:世界貿易機関(WTO)の圧力を受けて、減反政策見直しなど。国際競争力のある農業を作るべき、そのためには大規模化、企業化が必要、という流れ。

取り組み方向性に、食糧自給率向上の問題意識がないとはいえないが、グローバル化は不可避、保護貿易は悪、という前提を踏まえた発想のようには感じる。

個人的感想として、零細農家、家族経営農家について。やはりマネジメントの意識は低い。

農産物のブランド化、独自流通による直接販売:高付加価値化の方向性。既存流通網にとらわれず、直売所、通信販売等により販売。

一定の意識の高い事業者にはチャンスあり。同取り組みを組織的に行うために企業化が行われるケースもある。

現在は、個々の強い意志、信念に負うところが大きいように感じる。大きな流れ、動きにつなげるための方策はあるか。

閉じた系の活用:地域コミュニティ、地域通貨等と組み合わせた仕組みを構築。

雇用面について考慮しても、一定の企業化、組織化は有効と考えるが、そのあり方は検討が必要。

国が補助金等を出すとしても、事業体側に一定のマネジメント力が存在し、効率的な運営を行える体制が必要だろう。

現在の文脈における、企業経営化は危険な可能性。

グローバル化自体の必要性の議論に加えて、グローバル化を前提としても、「国際競争力をつける→グローバル企業が実施する方策を行う」ではないだろう。

健全な消費市場、流通構造、産業構造とはどうあるべきか。

人が関わる問題であるので、雇用する側の産業だけでなく、生活者のインフラの問題も検討が必要。

≪議論内容≫

農業といっても、米とそれ以外、専業と兼業で状況が異なるため分けて考えるべきだろう。

米以外では専業が多いが、米では兼業の割合が大きい(繁忙期以外の手間が少ないため)。兼業では、農業以外の収入の比率が高いケースが多く、零細農家保護という場合に留意が必要だろう。

農業は食を扱うものであり、工業製品と同様に、一般の市場経済原則に当てはめるのは適切ではない。

補助金の形態に限らず、政府が一定の関与をすることも必要であろう。

海外において、付加価値税(VAT)を食品、基礎消費財にかけない事例などもあり。

国策として、農業の基盤確保、本格的な人材のシフトに取り組むことは有用ではないか。

一度、農業を縮小させてしまうと、再び拡大することは困難である。国としての自立、備えのためにも農業基盤を維持、確保していくことは重要である。

農業は、雇用の調整弁的に使うのにはなじまない。一時的な就農促進は意味がないだろう。

製造業などで“ヒト”が“モノ”化されて扱われている実態があるからこそ、反対に、農業のように仕事そのものにやりがいを感じられることに共感を覚える層が存在するのではないか。

農業における“ほんもの”、自然なものを作ろうという取り組みは、現時点では、個人に負うところが大きいのは実態であろう。

今後、経済性、食の安全の問題から、社会全体としての体制整備が必要であろう。


■【食】クローン牛・豚、「危険でない」のでしょうか・・・? 

≪担当者のメモ≫浅川秀之 〔2009年2月25日(水)〕

内閣府の食品安全委員会において、体細胞クローン技術で生まれたクローン牛・豚は食べても危険でないとした報告書案「新開発食品評価書 体細胞クローン技術を用いて産出された牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品」が大筋で了承された(2009年2月24日)。



改めて本当なのか、どのような報告書なのかと疑問に思う。

日経記事によると米国や欧州の政府機関も同様の報告書をまとめているとのこと。

米国はともかく、食の安全性に厳しいといわれる欧州でも本当に同様の結論の報告書なのかと疑問に思う。

体細胞クローン牛及び豚並びにそれらの後代に由来する肉及び乳について、従来の繁殖技術による牛及び豚に由来する肉及び乳と比較し、栄養成分、小核試験、ラット及びマウスにおける亜急性・慢性毒性試験、アレルギー誘発性等について、安全上問題となる差異は認められなかった(同報告書からの抜粋。下線は浅川追記)。

栄養成分やその他試験等について、選択された試験そのものの妥当性について検証されているか。

「安全上問題となる差異は認められなかった」という結果をもって「安全」と結論付けられることにやはり不安を感じる。

報告書にはあるていど詳細に書かれているが、素人には読解できない。もう一段、一般消費者の納得のいくレベルの報告書に咀嚼する必要があると感じる。

体細胞クローン牛及び豚の出生前後において、従来の繁殖技術による牛及び豚と比較して、高い頻度で死産及び生後直死が認められる。また、体細胞クローン牛では、若齢期においても死亡率が高い傾向が認められている
しかし、この結果は、体細胞を利用して作製された再構築胚の全能性の完成度などによるものと考えられ、死亡原因そのものは従来の繁殖技術でも認められているものである。
また、出生後及び若齢期に生理学的に不安定な牛及び豚が認められるものの、それらは成長とともに回復し、健全となる
また、体細胞クローン牛及び豚の後代では、従来の繁殖技術による牛及び豚と健全性に差異は認められない
これらのことから体細胞クローン技術を用いて産出され、食用に供される可能性のある牛及び豚並びにそれらの後代については、従来の繁殖技術による牛及び豚と比べて差異のない健全性を有すると認められた(同報告書からの抜粋。下線は浅川追記)。

本当にこれで健全性・安全性を有することが認められるのか。専門的な知識が無い人にとっても、最低限のロジックが理解できるレベルの報告書(もしくは表現)である必要があるのではないか。

読んでしまうと、かえって不安を覚えるだけ。

一方、欧州ではどうなのか。

詳細にサーベイしたわけではないので断定はできないものの、いくつかの記事や関連サイト等を見る限り、総括としては「おそらく安全」といったトーンの模様。

日本の報告書も、その内容を見る限り最後のまとめは「おそらく安全。しかしながら不明な点も残っている点に留意が必要。」というレベルに思える。

≪参考≫食品安全委員会

 経済社会の発展に伴い国民の食生活が豊かになる一方、我が国の食生活を取り巻く環境は近年大きく変化し、国民の食に対する関心が高まってきています。
 こうした情勢の変化に的確に対応するため、食品安全基本法が制定され、これに基づいて新たな食品安全行政を展開していくことになり、これにともない、食品安全委員会が平成15年7月1日に、新たに内閣府に設置されました。
 食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下、規制や指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関です。
 食品安全委員会は7名の委員から構成され、その下に専門調査会が設置されています。
専門調査会は、企画専門調査会、リスクコミュニケーション専門調査会、緊急時対応専門調査会に加え、添加物、農薬、微生物といった危害要因ごとに14の専門調査会が設置されています。 
 また、事務局は、事務局長、次長、総務課、評価課、勧告広報課、情報・緊急時対応課、リスクコミュニケーション官から構成されています。

(注)「下線」:浅川が追記。
(出所)食品安全委員会ホームページ


■【インフラ事業】日本における水道事業の民営化

≪担当者のメモ≫岡本俊哉 〔2009年2月13日(金)〕

2002年の水道法改正に伴い、水道事業が民営化され、外資による包括的な運営も可能となった。

日本では2002年4月に改正水道法が施行。これまで主に自治体が担ってきた水道事業のうち、浄水場などでの薬剤の投入や設備の運転といった技術的な業務を第三者に包括的に委託できるようになった。

日本には仏ヴェオリア社が参入し、西原環境テクノロジーとともに水道事業に参入。

世界最大の水道会社である仏ヴェオリア・ウォーターは日本の水道事業に本格参入する。中堅水処理会社の西原環境テクノロジー(東京・港)を傘下に収め、自治体から上下水道の運営を受託する。日本では規制緩和で水道運営の民間委託が解禁され、今後市場拡大が見込まれている。官公庁にパイプを持つ西原環境を事実上買収し、日本市場開拓を急ぐ。

日本法人のヴェオリア・ウォーター・ジャパン(東京・港)が西原環境を子会社化して社長も派遣した。2006年に20%出資していたが、追加出資して比率を51%に引き上げた。西原の新資本金は14億円。日本市場開拓を本格化するため今後西原の組織改革に着手する(以上、2008年2月日経新聞記事)。

西原環境テクノロジー:自治体や日本下水道事業団の下水処理場設備工事を主たる事業とした企業で、2007年3月期売上高135億円。

仏ヴェオリア社は、既に13社もの子会社を傘下に収め、事業を拡大している。

ヴェオリアグループ全体では、世界100ヵ国以上の水道ビジネスを請け負っており、売上は1兆6,000億円、営業利益2,000億円

ヴェオリア社がこれまでに受注した上下水道事業

広島市:西部水資源再生センター(下水処理場)の管理・運営(2006年)

千葉県:印旛沼流域下水道花見川第二終末処理場の維持管理包括委託(2007年)

他、埼玉県、熊本県荒尾市、福岡県大牟田市

水道ビジネスに占める民間企業の割合は、イギリス100%、フランス80%、アメリカ35%

水道の民営化は始まったばかりで民営化された水道は世界の水道の5%程度しかなく、この分野の成長率は年率10%と予測されている。また、世界銀行、IMF、WTO等の国際的な機関は発展途上国を含めて水道事業の民営化の促進を後押ししている。

国際金融資本は、途上国への融資条件として水道部門の民営化をあげ、中南米などで水道事業が民営化されていった。そこに乗り込んでいったのが、ウォーターバロンと言われる3社(仏ヴェオリア社、仏スエズ社、英テムズ・ウオーター・ユーティリティーズ社)である。

受注すると値上げを繰り返し、南米のボリビアでは水道料金の値上げに反対数する暴動まで起こっている。現在の中南米では、水道事業は再公営化の流れにある。

フランスのデザイン事務所で働く日本人ビジネスマンからの情報:

全く余談ですが、フランスの上水道の約20%は、地下管路の漏水により失われているそうです。全く驚きです(フランスも日本と同様、大部分の上下水道管は道路の地下を通っています)。

これを、人間が聴診器を使って音や振動で検出しているのが現実だそうで、水道会社としても悩みのタネという記事がありました。水道料は比較的高いので、市民の方こそ困りますが。

フランスの水道料金は1ユーロ/m3(2008年9月のリーマンショック以前では、およそ150〜180円/m3ほど)、日本の水道料金は120円/m3であるので、約25〜50%も高かったことになる。

≪課題意識≫

消費者独占性

同じ公益セクターで、暖房、給湯、調理器具等で競合性のある電気やガスよりもさらに強く、代替性がほとんどないものと言える。

公益事業による利益追求

仏ヴェオリア社の収益性(売上:1兆6,000億円、営業利益2,000億円、営業利益率12.5%)に見られるように、独占的なサービス性から多額の利益をあげている。

国際金融資本と多国籍企業との連携により世論を操作

「国営は無駄が多い。民営化こそ、効率的かつ安全な水を確保する手段」と言った情報流布。実態は、フランスからの情報の通り、ずさんな管理実態、かつ料金も決して安くない。

≪参考≫ウォーターバロンと呼ばれる水関連事業会社

仏ヴェオリア社(Veolia Environnement)

複合コングロマリットのヴィヴェンディユニバーサル社から上下水道部門を独立させ、設立された会社。本社はフランス。世界90カ国で事業を展開している。水道部門のジェネラル・デゾーを持つ。

仏スエズ社(Suez)

スエズ運河の工事を請け負った歴史ある複合企業。世界130カ国で事業を展開している。スエズ・リヨネーズ・デゾーから社名変更。本社はフランス。ヨーロッパ最大級のエネルギー会社で、傘下のオンデオ社が上下水道部門を担当している。

上記2社で実に世界の民営化された水道事業の70%のシェアをもっている。

英テムズ・ウオーター・ユーティリティーズ社

1973年に設立されたテムズ水道局が母体となった会社。

独RWE社(電力会社)の子会社である。

その他、、米アメリカン・ウォーターステイツ・ウォーターカンパニー社や米ベクテル社などの企業が水道事業を行っている。

≪参考≫ヴェオリア・ウォーター・ジャパン株式会社の概要

所在地:

本社:〒108-0022 東京都港区海岸3-20-20 ヨコソーレインボータワー11階

Tel.03-5441-7010 Fax.03-5441-7011

芝浦事務所:〒108-0023 東京都港区芝浦4-19-1 芝浦アークビル3階

設立:平成14年5月1日(2002年5月1日)

代表取締役社長: 村地 卓一

社員数:約2,450人(2008年1月末現在)(グループ全体)

売上高:286億円(2006年12月期)

事業内容:

水事業全般、上水・下水処理施設の運転維持管理、上水・下水処理施設の設計、施工、管理、顧客サービス、管網管理、産業用水供給・排水処理事業、超純水および再生水事業

グループ企業:

ヴェオリア・ウォーター・ソリューション&テクノロジー株式会社 

株式会社エコ・クリエイティブ・ジャパン 

株式会社管路管理

株式会社グリーン・ウォーターソリューション 

昭和環境システム株式会社

株式会社ジェネッツ 

大日本インキ環境エンジニアリング株式会社

ティーエス・サデ株式会社

株式会社西原環境テクノロジー 

株式会社西原テクノサービス 

株式会社ニチジョー 

日本浄水管理株式会社

フジ地中情報株式会社


■【食・農業】減反政策の見直しと種苗メーカー

≪担当者のメモ≫岡本俊哉 〔2009年2月6日(金)〕

減反政策の見直し(選択性の導入)は、世界貿易機関(WTO)交渉によるコメの関税引き下げ圧力、その背後にある多国籍穀物メジャーの姿が見て取れる。

石破茂農水相は2009年2月3日の閣議後会見で、主食用米の生産調整(減反)政策の見直しに関連して、減反に参加するかしないかの判断を全面的に農家に委ねる「選択制」への移行も含め検討していることを明らかにした。減反に加わるかどうかを農家の判断に任せる「選択制」に切り替え、政府によるコメの買い支えもやめる。供給増での値下がりに備え、減反に参加した農家にだけ一定の交付金を支払う。

日本の米の生産量は約900万トン/年で、減反制度を廃止すると、生産量は約1.5倍、米価は半額程度になると予測されている(富民協会/毎日新聞社『農業と経済別冊 コメ関税化徹底討論』(2003年11月5日)。

タイの"ジャスミンライス"という香りが良くおいしい高級米に関して、米国企業(企業名は未確認)が特許と商標を取り(1998年)、タイの農民たちがこれを植えたいと思えば、 米企業から種を買わなければならず、輸出もできない状況なっている。

日本の種苗メーカー最大手であるサカタのタネにもスイスの資本(SIS SegaInterSettle AG=サラジン銀行:7%、第2位)が入っている。サラジン銀行は瑞ノバルティス社と関連が深いとのこと。

欧州では、遺伝子組み換えを厳しく規制しているが、日本では、農民の反対を押し切り、農水省が遺伝子組み換え稲の野外実験を実施している。一般米との交雑による遺伝子汚染が危惧されることはもちろんのこと、日本人の主食かつ世界に誇る日本のおいしい米を守る姿勢とは言い難い。

通常の稲との離隔距離は30m。2004年に農業・生物系特定産業技術研究機構東北農所センターが実施した栽培実験の際に行ったモニタリング調査で、25.5メートル離れた地点から交雑種子が検出された知見による。

http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/2006/0308b.htm(2006年3月8日)

3.2万種の「イネゲノム」はすでに解読済みで、(独)農業生物資源研究所および(独)理化学研究所により、それらの全cDNAを貼付けた書籍タイプのDNAブック®(Rice Full-Length cDNA Encyclopedia DNABook®)がまとめられている(2005年10月19日)。

これにより、クローン等の作成は非常に容易になっていると思われる。

農水省は、種苗メーカーの圧力に屈して種の自家採種を制限しようという動きも見られる。

農家の自家採種はこれまでは容認され、例外として増殖禁止品種を設けてきましたが、将来的には自家採種は原則禁止とし、採種を認める例外品種を設けるという種苗メーカー寄りの方向に移行しようとしていることが、農林水産省「植物新品種の保護の強化及び活用の促進に関する検討会報告」(2006年12月19日)から見て取れる。

抜粋:2004年12月に、「植物新品種の保護に関する研究会」における検討及びパブリックコメントを経てとりまとめられた同研究会報告においては、「新品種の育成者の正当な利益を確保し、新品種の育成を促進して我が国農業の国際競争力の強化を図るためには、農業者の自家増殖について、農業生産現場への影響に配慮しつつ、育成者権の効力の及ぶ範囲を拡大し、将来的には、自家増殖には原則として育成者権を及ぼすことを検討すべきである。

≪ディスカッションしたい点≫今回の減反政策の見直しは、結果として日本に良い結果をもたらすか?本来のあり方は?

零細農業家が多く、自家製の種を採取して生産している(大手種苗メーカーに支配されていない)日本だからこそ、高品質な米ができるのではないか。

経済不況化にあり、低価格の米が流通すれば、消費者はそちらへ流れることは必至である。このような時期に、減反政策を見直すということは、日本の高品質な米の文化を汚すことにならないか。

これまでの減反政策を擁護しているわけではなく、種苗メーカーの影がちらつく見直しの仕方が問題と考えている。

≪参考≫多国籍アグリ関連企業

米モンサント社

遺伝子組み換え製品の開発とマーケティングの世界的リーダーであり、現在、世界で最も巨大な農薬生産会社でもある。2002年に植え付けされた90%以上の土地の遺伝子組み換え種がモンサント社のものであった。遺伝子組み換えダイズを含むそれらの多くは、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」に抵抗力を持つよう遺伝子組み換えがなされている。ベトナム戦争で使われた枯葉剤のメーカーでもある。

瑞シンジェンタ社

2000年にスイスの製薬企業ノバルティスファーマ社の農薬や種子の販売部門とスウェーデン/英国の製薬企業アストラゼネカ社の農薬バイオ技術リサーチ部門が合併して設立されたスイスの企業。世界で2番目に大きい農薬生産企業であり、3番目の大手種子生産企業である。

独バイエルクロップサイエンス社

ドイツの大手化学薬品企業であるバイエル社の子会社。遺伝子組み換え作物開発と市場における重要な役割を担っている。

米バンジ社

年間総収入は220億ドル。その多くは遺伝子組み換え品を含むダイズから生み出されています。ダイズの加工や取引において世界をリードする企業である。

米カーギル社

穀物、コーヒー、綿、ゴム、砂糖、石油など様々な商品を取り引きする大手商社である。アメリカでは、最大の穀物輸出業者で、ヨーロッパでは、食用油の三大主要原料であるダイズ、カノーラ、ヒマワリの販売で大きなシェアを持っており、遺伝子組み換え作物の取引も活発。非上場企業としては、世界最大の売上高を誇る。


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