柳田法相更迭:国会軽視発言で引責 補正予算成立を優先

2010年11月22日 11時24分 更新:11月22日 12時56分

会見で辞任を表明する柳田稔法相=法務省で2010年11月22日午前10時15分、手塚耕一郎撮影
会見で辞任を表明する柳田稔法相=法務省で2010年11月22日午前10時15分、手塚耕一郎撮影

 柳田稔法相(56)=参院広島選挙区=は22日午前、首相官邸で菅直人首相と約20分間会談し、国会軽視と受け取られる発言をした責任を取って辞表を提出した。10年度補正予算案審議への影響を避けるため、首相が事実上、更迭した。後任の法相は当面、仙谷由人官房長官が兼務することとし、政府は持ち回り閣議で決めた。首相の任命責任は免れず、内閣支持率が急落する菅政権にとって、大きな打撃となりそうだ。

 首相は午前8時に官邸に柳田氏を呼び「国民生活を考えると10年度補正予算案をなんとしても速やかに通さねばならない。そういうことができる環境を真剣に考えなければならない」と辞任を促した。柳田氏はその場で辞表を書いた。

 柳田氏はこの後、法務省で記者会見し「私の不用意な発言が影響して、補正の障害になってきたことを考え、『私から身を引かせていただきます』と辞意を首相に伝えた」と明かした。21日に「今後とも頑張りたい」と続投に意欲を示した直後の辞任については「一貫して任務を遂げたいという思いだったが、今朝、首相の話を聞き、その場で決めた」と説明した。

 また14日の地元・広島市での国会軽視発言について「(出席者が)20年前から知っている仲間だから、気を許しすぎたというのが率直なところだが、不用意な発言は私の非なので、心からおわびしないとならない」と改めて謝罪した。

 野党は柳田氏の辞任か罷免を求め、自民党は柳田氏の辞任がなければ22日午後に問責決議案を参院に提出することを予告。問責決議案は24日に野党の賛成多数で可決が確実な情勢だった。政府・民主党は補正予算案の成立を遅らせないためには辞任を受け入れざるを得ないと判断した。

 ◇辞表はその場で書いた

 22日行われた柳田稔法相の辞任記者会見の主な内容は次の通り。

 22日午前8時に首相官邸で、菅直人首相、仙谷由人官房長官と話した。首相からは「10年度補正予算は国民生活を考えると、何としても速やかに通さなければならない」という話があった。広島での不用意な発言がいろんな所で影響し、補正の障害になったことを考え、私の方から「身を引かせていただきます」と辞意を伝えた。(辞表の)書類はその場で書いた。

 --首相と会うまでは辞意は固めておらず、会談の結果、辞任に至ったのか。

 一貫して、(法相の)任務を遂げたい思いでやっていた。今朝、首相と会い、話を聞いて、その場で(辞任を)決めた。

 --なぜ、国会軽視ととられるような発言をしたのか。

 閣僚に就任して2カ月間、地元・広島にも帰っていなかった。今日まで応援してくれた皆さんで仲間であり、気を許しすぎたというのが率直なところ。結果的にジョーク交じりというか、ああいう発言をしたことは私の非だ。心からおわびをしなければならない。

 --もっと早く辞めることもできたのでは。

 国会で間違ったり、虚偽の答弁をしたことは一切ない。「政治とカネ」の問題があったわけでもない。発言は申し訳なかったと謝るが、国会ではしっかり対応してきたし、役所でも指示をしてきた。これからも頑張っていきたいという思いがあった。(辞めるにあたり、迷いは)ある。

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