対北朝鮮:「今後も金総書記に圧力継続」米統合参謀議長

2010年11月22日 10時55分 更新:11月22日 11時4分

 【ワシントン草野和彦】北朝鮮のウラン濃縮施設が確認されたことについて、マレン米統合参謀本部議長は21日、北朝鮮が国連決議や6カ国協議の合意事項を破ったとして、「今後も金正日(キムジョンイル)総書記に圧力をかけ続ける必要がある」と述べた。北朝鮮の核問題は、従来の核兵器に加え、北朝鮮が「平和利用が目的」として新たな交渉材料にすることが明らかなウラン濃縮への対処も抱えることになり、解決の困難さが増したことになる。

 マレン議長は米ABCテレビ番組などに出演し、ウラン濃縮施設の確認は「北朝鮮のウラン濃縮活動に対する長年の懸念を裏付けた」と語った。「核兵器を増やす方向に進んでいることは明らかだ」とも述べ、3月の韓国哨戒艦沈没事件同様に「好戦的な態度」だとの認識を示した。

 一方、ウラン濃縮施設を見学したヘッカー米スタンフォード大教授によると、北朝鮮側は、生産するのは低濃縮ウラン(平均濃縮度3・5%)であり、電力問題解決のために建設している新たな軽水炉の燃料に使うと説明したという。

 また、北朝鮮側は6カ国協議と、非核化の見返りのエネルギー支援などを盛り込んだ05年共同声明の進展を望んでいるという。その一方でウラン濃縮に傾注した動機について、「肯定的な合意に至るまで待つことはできない」と強調した。

 既に2度の核実験を行った北朝鮮は「核兵器国」と認められることを望んでおり、北朝鮮側は今回も教授に、米朝関係の改善がない限り、核兵器破棄の意思がないことを明らかにした。今後はさらにイラン同様、ウラン濃縮は「平和利用」だとして、停止には応じない可能性がある。

 こうした状況を踏まえ教授は「中国やロシアは、北朝鮮には核エネルギー開発の権利があると主張するだろう」と推測し、問題の複雑化を懸念している。さらに、北朝鮮が非核化への真剣な態度を示すまで、米国や日本、韓国が6カ国協議再開に応じないとしていることは「問題をさらに悪化させる」とし、問題解決への唯一の望みは「関与(対話)」だと指摘している。

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