2011年1月19日23時30分
美容整形手術の後に主婦(当時53)が自殺したのは、手術の失敗が原因だなどとして、遺族が東京都内の診療所に約5413万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、岡山地裁であった。工藤涼二裁判長は、原告の訴えを一部認め、診療所側に約853万円の支払いを命じた。
判決によると、岡山市在住だった主婦は2002年5〜6月、3回にわたり鼻、まぶた、ほおの整形手術を受け、総額約450万円を支払った。その後、嗅覚(きゅうかく)障害と診断され、05年8月に自殺した。
原告側は「手術でゴリラのような鼻になり、両目の下まぶたがめくれ、あかんべーをしている状態になった。絶望のうちに自殺した」と主張。診療所側は「手術に何ら過失はない。鼻は、主婦の希望に沿って手術した結果、そうなった。自殺との因果関係もない」などと反論していた。
判決は「手術で嗅覚障害や二重まぶたの不整形が生じており、8日間という短期間の鼻の手術は嗅覚障害を生じる可能性が高かった。また、十分な説明をしないまま再手術した」と認定し、診療所側に賠償を命じた。
ただ、自殺との因果関係については「説明義務違反、嗅覚障害、二重まぶたの形のいびつさが原因で自殺するとは通常、考えにくい」と否定した。(西山良太)