第一回の多摩動公園侵入が大成功に終わり、俺らはかなり上機嫌であった。
その時の俺らの瞳といったら、難儀なミッションをクリアした達成感と、次なるターゲットに送られる期待感でそれはもうキラキラ星のごとく輝いていたに違いない。
ガキとかバカとか言わないでくれ、当たっているから腹が立つ。
そして、次なる建造物への侵入の機会は、思ったよりずっと早く訪れた!
時は多摩動侵入から二ヵ月後のゲリラ祭であった。
はて?このゲリラ祭とは何か?御存じない方々に説明しておこう!
ゲリラ祭、、、、このもう名前からして危険なこの祭は、我が母校中0大学内の
サークル棟という建物で毎年学校側に無許可で行われるお祭りなのだ。
もともとフリーバードという中0大学に住み着いている輩が中心となって始められたようだ。
内容は、DJが適当に曲を回し、酒をあおり、飯とかみんなで作って、作ってない人らにも振る舞って、
あちらでは麻雀、あちらでは床屋(無免許)、こちらでは自主映画上映、いきなりダンサーが踊ったり、
でも最終的には酒に終わる。って感じのヒッピー感少し漂うかなり楽しいイベントなのである。
しかし凄くないか?学校に住んでるって。確かに家賃、光熱費一切免除!なのだが。
おそらくサークル棟では日々中大警備員との死闘が繰り広げられていたのであろう。
まだ住んでるのかなあ?フリーバード。住んでたら嬉しいが。
少し横にそれた。
んで当時の俺もそのゲリラ祭に参加していたのだが、やはり名前にあやかってもういっちょやろう!侵入!という運びになった。
どっちにしろみんなやりたくてウズウズしてたのだ。
いや、じゃあ別に普通に集まって行けばいいじゃん?と思うかも知れないが、やはりこういうのは勢いのなせるワザなのだ。
助走をつける滑走路的な物はやはり必要である。
そんなこんなで次のターゲットを吟味。
、、、、決定!!『多摩テク』に侵入する!!
っていうか他に無かった。
多摩テクは、知らない人も結構いるだろうねって位のさびれたいかした遊園地だ。
横っちょに健康ランド『クアガーデン』があるのだが、ひょっとしたらそっちの方が客入りが優秀かもしれん。
そして、大学の近辺には、多摩動とテクしか娯楽施設がないのだ!
おそるべくは多摩地区!さすがはドーナツ化現象のドーナツの部分である。
まあ、そんな皮肉をたれてもしょうがない。
再びメンバーがつのられる。
我が学年から俺を含めた4人(当時スマイルモンキーなるお笑いユニットを組んでいた。後に就職活動と女性問題で解散。)と、当時の新入生数名が名乗りをあげた。
しかし今回も人数が多い。そこで、再びふた手に別れる事に。
結局、上級生組と、新入生組に別れる事となる。
今回侵入する多摩テクも、多摩動と同じく山の上に居を構えている。
もう本当に山を切りくずして作りました!自然破壊!バブル丸出し!イケイケボデコンおやじギャル!ジュリアナトトトトウキョーーーーウ!ティラミス!ティラミス!アッシーーーーくーーーーーん!!!!
ってかんじのアミューズメントパークだ。っていうか俺はSPA!は嫌いだ。
新入生チームより先に目的地に到着した我々は、とりあえず正門に夜陰に乗じて接近した。
、、、、、!!!
パトカーだ!!
即座に身を伏せて、お互い見つめあう。
メンバーの表情に焦躁と高揚の表情が乱れ飛ぶ。
やべえ、よりによって門のまんまえの道検問してやがる!
仕方なく、側面の山をつたって園内に侵入する。
さすがにみつかったらダイレクトで上んとこがウィンウィンゆう車に直行せねばならないこの状況で、正門から堂々と侵入する勇気は我々にはなかった。
っていうかそんな事をするやつははっきりいってバカであろう?と思っていた。
H見(後日談)「え?パトカー?ああ、なんかいたけどもう関係ねえ!って感じで門乗り越えて入りました。はい、むりやり。はい。」
、、、、新入生恐るべし!!!
まあ、兎にも角にも無事侵入成功だ。俺達は、無人の遊園地に降り立った。
静かだ。
前回と違い、生き物の気配が全くしない。もし一人だったら、ちょっと怖いかもしれない。
でも、そんな事は、今思い返してみリャアの話なのだ。当時の俺らはもう発狂寸前。
とりあえず無理矢理ジェットコースターに登る。
一回やってみたかった。あのレールの所に登ってみたかった!これで、夢が一つかなったと言える。
メリーゴーランドに乗ってみたが、これはダメだ、つまらん。
そして、ふたたび別のジェットコースターの乗り場に到着した時だった。
、、、、、、ルル、、、、、ブ、、、ル、、、
俺「おい?何か聞こえないか?」
0澤「?そうか?、、、、、、、、うわ、ホントだ。」
などと悠長な事を言ってるウチに音はどんどんでかくなって来た!!
これは、、、、、バイクだ!
しまった!パトロールだ!!
やばい!侵入企画始まって以来、初の強敵の登場だ!
ソッコウでコースターの中に身をかくす俺や小澤。
おい!!何やってんだよ!!
メンバーのモソ君は反応する事が出来なかったらしく、その場につったったまま!
ああ、もう終わった。この企画も『逮捕』という最悪のエンディングを迎えるのか。
、、、と思っていたのだが、バイクは我々の目の前を通過して行ったにもかかわらず、そしてモソは立ちんぼうだったにも関わらず、バイクは行ってしまった。
どうやらバイクパトロールは非常に視野が狭いらしい。パトロールにバイクは向かないようだ。
とにかく助かった。絶対に捕まったと思ったよ。ふう。今度からは気をつけよう。
さて。
多摩テクの売りと言えば、何か?
それは、ジェットコースターでもなく、お化け屋敷でもない。
『観覧車』なのだ。
多摩テクは、山の上にあるため、その頂上付近に作られた観覧車は、ひっじょうに眺めが良い。
そりゃそうだ、山の上の観覧車のさらにそのてっぺんなのだから。
という訳で、せっかく来たんだし最大のアトラクションを見ずに帰るのはもったいなかろう?
という事で観覧車に向かう我々。
そして、到着。
で、でけえ、、、、、。
とりあえず、一番下の乗る所に入ろうとするが、開いてない。くそう。
が、上の方ならきっと開いているはずであろう。そう思い、俺は鉄骨をよじ登り、程よいあたりでドアを開けてみた。
開いた。
一気にテンションの高まった我々は、あっというまに全員乗り込んでいた。
深夜の観覧車に乗っているというのは、非常に妙な気分だ。
我々は少し休憩とばかりに、会話を楽しんだ。
が、俺はふと、ドアが半開きになっている事に気が付いた。
これはマズイのではなかろうか?
外から見て非常に不自然だ。
パトロール中の警備員が不審がるかもしれん。
俺「あ、0澤、ドア閉めてくんない?」
0澤「あい。」
バタン。
その後もしばらく会話がはずんだ。たしか怪談話だったか、それとも将来の話だったか。忘れてしまった。
そして。
「さて、そろそろ出るか。(ドアを開けようとして)、、、、アレ?、、、、アレエ?」
、、、、、バカだった。俺がバカだった。
不幸は突然やってくるものだ。
ドアは開かなかった。
我々は、あっさり閉じ込められてしまったのだ。
全員「!!!!!!!!(驚愕)」
深夜ニ時の観覧車に男四人。
昼間でもかなりいやな状況だ。
ああ、そうだよ開くわけねえンだよ!観覧車が中からさあ!
だって開いたら落ちちゃうじゃん!
そんな至極当然の事が完全に頭から抜け落ちていた。
出られない。
当然小屋内大パニック。
「おい!あかねエぞ!ヤベエよ!」
「マジか?!うわあ!どうしよう!!」
「え?ここ酸素大丈夫?!え?」
「おい!ドア壊せ!無理矢理開けろ!」
「おい!やめろって!警備員にバレる!それに、、万が一これごと落ちたらどうすんだよ!」
「うんそうだよ、どうせ開かないよ。」
「じゃあどうすんだよ!朝までここにいてつかまんのかよ!」
「あああ、俺はこんな所で捕まるわけにはいかねえんだよ。俺はお前らとは違うんだよ!!」
「!、、、てめえ、、、何言ってんの?」
「俺は将来弁理士になるんだよ!だからこんな所で前科一犯にはなりたくねえんだよお!」
「かんけえねえだろボケ!お前自分さえよけりゃあいいのかよ!おい!お前もおまえだよ!おめえがドア閉めるからこんな事になったんだよ!」
「俺のせいかよ?!違うだろ?ドア閉めろっつったのはこいつだろ?!」
「え?それより酸素は?」
「よく見ろ!ここ網になってんじゃねえかよ!」
「あ、ホントだ。よかったあ。」
「大体誰だよ?こんな事考えたヤツ!ああ、もうこんな企画についてくんじゃなかった!!」
「なに?言われなくてもおめえはもう誘わねえよ!」
「ああ、やべえ。」
「どした?」
「俺、下にバッグ置きっぱなしだよ。」
「うわ、マジで?」
「、、、!!静かに!!!誰か来た!!!!!」
「(小声)おい、今度は歩きだぞ。」
「うん、逆にやばいな。じっくり見られると、カバンが見つかっちまうな。」
「たぶん今の騒ぎ声を聞き付けて来たんだろうなあ。」
「ああ、どうしよう。バッグが、、、。」
「自業自得だろ。」
「来たっ、、、、、、」
「、、、、、、」
「、、、、、、」
「、、、、、、」
「、、、、、、」
「、、、、、、行った?」
「、、、多分大丈夫だ。」
「ふうう、とりあえずほっと一息。」
「、、、、、、」
「、、、、、、」
「静かだな。」
「うん。」
「あのさ。」
「なに。」
「さっきの話じゃないけどさ、こういう時って『出る』んじゃないか?」
「えええ?」
「霊とか。」
「うわあ、マジでやめてくれ。勘弁してくれ。」
「いや、こういう騒がしい所にさ、霊は集まるって言うし。」
「いや、マジでやめてくれ。ホント勘弁してくれ。」
「あああああ!!!!」
「うわあ!マジで勘弁してくれ!」
「忘れてた!!」
「何を?」
「新入生チーム!!!!!」
「ああああああ!!!!(歓喜)」
と、ここでようやく新入生チームの存在を思い出したのだ。
いやあ、パニくったよ、本当に。
早速携帯に連絡して、逸見に助けを求める。
15分程度で、新入生チーム到着。
逸見にドアを開けてもらう。
どんなに嬉しかった事か!!
新入生たちを、本当に頼もしく思った。
H見(後日談)「いやあ、みっともなかったですよ?ノブさん達。もう観覧車のどの部屋か一発でわかりました。
だってもうそこだけガラスメチャ曇ってるし、なんか揺れてるし。
んでその曇りをこう、必死に中から拭きながら、手をふりつつ『助けてー』とか言ってました。
哀れな感じで。いやあ、ほんとにみっともなかった。(笑)」
なんとでも言うがいい。でも、助けてくれてありがとう。いや、本当に最大のピンチであった。
さすがにとっとと撤収する。が、最後に山の上からみんなで見た夜景は、キレイだったなあ。
この事件により、少しは懲りるか?と思われた我々だったが、そんなことは微塵も無く、再び新たなターゲットを目指す事となるのであった。
次回!!嵐の夜!真夏の都会に何かが起こる!!『侵入!!としまん!!』
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