日本経済新聞社と日本経済研究センターは19日午後、東京・大手町の日経ホールで景気討論会を開いた。中国経済の先行きについては楽観的な意見が相次いだ。中国政府は人民元を穏やかに切り上げていくのとあわせて、金融を引き締めて過度なインフレを抑えこむのに成功するとの見方が大勢を占めた。
三井物産の飯島彰己社長は中国経済について「金融引き締めの影響が一部で出ているが、内需の拡大によって高成長は維持する。大きな心配はしていない」と述べた。飯島氏は中国では共産党「一党で経済政策を推し進めることができる」と指摘し、日本や欧米などに比べて意思決定スピードが速いことも経済運営上の利点になっているとの認識を示した。一方、同国が抱える課題としてエネルギーの効率化や社会インフラの整備を挙げ、「日本企業がこれらをサポートすれば大きなビジネスチャンスになる」と語った。
日銀の門間一夫調査統計局長も「中国は個人消費、固定資産投資が堅調で、先行きも高い成長が続く」との見方を示した。懸念されるインフレリスクについては「コントロールが効かなければ、1番困るのが中国当局。熱気ある国なので精密機械のようにコントロールするのは難しいが、中期的には楽観的にみている」と語った。
一方、日本経済研究センターの岩田一政理事長は「中国の金融政策は足もとではまだ中立に近い緩和の状態。今の程度ではまだインフレを抑え、バブルをなおすのは難しい」との見方を示した。
中国のインフレ問題に関し、野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストは「金融引き締めで物価の上昇を抑えつつ、(ドル買い・人民元売りの)為替介入をしている政策には整合性がない。自国の利益のためにはインフレを抑える必要性があるから、介入を緩めて通貨を切り上げていくだろう」との認識を示した。人民元の切り上げ幅については「2005~08年は平均6~7%だった。今回はもう少し高く10%くらいになるのではないか」と述べた。今後は人民元を国際的な通貨に育てあげていく動きも出てくるとの見通しもあわせて示した。〔日経QUICKニュース〕
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