2011年1月18日22時22分
防波堤には映画「崖の上のポニョ」と日清食品の「出前一丁」のキャラクターが競演=鹿児島県阿久根市晴海町
防波堤に、ガチャピンとムック、クレヨンしんちゃん、スヌーピーなどの人気者が。「地デジカ」とダイハツのCM「カクカクシカジカ」も=鹿児島県阿久根市晴海町
阿久根消防署の車庫に描かれた「エアブラシアート」。フェルメール作品と招き猫、消防車が同居している=鹿児島県阿久根市鶴見町
出直し市長選が終わったばかりの鹿児島県阿久根市が、公共施設の壁にスプレーで絵を描く事業を巡って揺れている。竹原信一前市長(51)が専決処分で決めた肝いりだが、17日就任した西平良将市長(37)が一部を消す方向で検討を指示した。作者は18日、西平市長に抗議した。色彩が奇抜で、描かれたキャラクターなど著作権侵害の恐れもあり、「竹原流の象徴」の行く手は険しい。
オランダ人画家フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」、人気ゲームのキャラクター「ピカチュウ」、タレントの所ジョージさん……。
そっくりさんらが集うのは阿久根消防署の車庫外壁。興味津々に見る子がいる一方、付近の女性は「消防署に招き猫はひどい。火事や災難を招きそう」と顔をしかめる。
西平市長は17日、「命がけで訓練をしている施設。明らかにおかしい」と、この壁と隣の訓練塔に描かれた絵を元に戻すよう指示した。制作中の阿久根小学校の壁画も「やめてという声が多い」として中止を指示した。
絵は市が予算500万円で神奈川県藤沢市のエアブラシアーティスト、清田定男氏(71)に委託。竹原前市長が議会を通さず専決処分した。
阿久根の商店街では清田氏の同様の絵があふれる。清田氏は竹原氏が2009年度に実施した「シャッターアート事業」(約400万円)を受託。09年9月から阿久根市に住み、店のシャッターなどに描き続けてきた。
竹原氏は公共施設に広げることにし、昨年7月から今年3月までに消防署と小学校、港の防波堤などで作品を完成させる予定だった。
「清田作品」への街の反応は様々。「竹原市政が市民に相談もせずやった。不気味だ」(工場経営男性)と批判する声の一方、「竹原さんだからできた芸術事業。子供にいい影響を与える」(商店主女性)との評価も。著作権の問題への指摘も出ている。