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通報遅れ 農場指導へ 口蹄疫で宮崎県

2011年01月19日

 宮崎県で昨年発生した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)をめぐり、発生初期に通報の遅れなどを生じる不適切な管理がなされていたことから、県は、同県川南町などで大規模農場を運営する畜産会社安愚楽(あぐら)牧場(栃木県)に対し、家畜伝染病予防法(家伝法)に基づく改善指導を行うことを決めた。

 川南町の大規模農場では当時、牛725頭を飼育しており、国や県の対応などを検証してきた県の口蹄疫対策検証委員会(座長・原田隆典宮崎大教授)が14日にまとめた最終報告書で、他の農場と併記して「初発農場の可能性がある」と指摘されていた。

 報告書によると、この農場では昨年4月22日に獣医師が牛の異常を確認し、県の家畜防疫員が24日に立ち入り検査を連絡した際に「感染疑い」を県に届け出たが、同日の検査時には既に多くの牛が発症していた、とされている。

 昨年の口蹄疫は4月20日に同県都農町の農場で1例目の感染疑いが確認された。報告書によると川南の農場では4月8日に複数の牛に食欲不振が見られ、18〜20日には全頭に抗生物質を投与していた。作業日誌などから3月下旬に風邪などの症状を示す牛がいたことも確認されている。

 この農場の獣医師は計13農場を一括管理しており、3〜4月には農場を訪れることなく、電話で従業員から症状を聞いただけで投薬などの処方を指示していたという。県の検証委は「家伝法だけではなく、獣医師法に照らしても問題がある疑いがある」と指摘していた。

 県は、獣医師不足や多頭数の飼育が感染拡大につながった可能性があることから、獣医師の拡充や埋却地の確保などを近く同社に求める方針。同社は既に県に対し問題点を大筋で認めているという。

 安愚楽牧場は「県や市町村などの指導に従い、体制を改善したい」としており、契約獣医師の拡充や、数カ所の農場を1人で担当していた管理責任者を各農場1人ずつ配置することを検討するという。また「初発」の可能性が指摘されたことについては「1人の獣医師が複数の農場を担当していたため、気付くのが遅れた面があった可能性はある」としている。

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