鹿児島県阿久根市の西平良将市長（３７）は、竹原信一前市長（５１）らの写真を表紙に掲載した市観光パンフレットの回収を指示した。住民投票で失職後に５０００部作成され、出直し市長選の期間中に観光案内所などに配布された。「選挙運動に利用したのでは」と批判されている。

　パンフレットはＡ５判１６ページで、表紙には「あくね感動主義」の標語に、竹原氏をはじめ、「副市長」職を解任された仙波敏郎氏、地元出身のボクサーを顔写真入りでデザイン。名産品や祭事とともに竹原氏が専決処分で予算化したスプレー絵画などを名所として紹介した。

　裏表紙に「平成２２年１１月３０日現在のもの」という断り書きがあるが、市関係者によると印刷の発注は１２月２７日で、竹原前市長が５日の住民投票で失職後だった。また、仙波氏が市長選前の印刷と配布を指示したという。

　西平市長は「住民投票で失職し、明らかに市長でない人物を公的印刷物で紹介し、選挙期間中に配るとは信じられない行為」と批判した。【馬場茂】