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迷惑メール500万通 「出会い系」勧誘容疑の7人逮捕

 出会い系サイトに勧誘する迷惑メールを無差別に携帯電話などに送りつけたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室などは17日、特定電子メール送信適正化法(迷惑メール法)違反容疑で、東京都豊島区池袋の出会い系サイト運営会社「UNIVERSAL FREAKS」社長、岩田敏雄容疑者(36)と同社役員、広田伸弘容疑者(38)、同社社員ら計7人を逮捕した。岩田容疑者は「一度に約500万通を送った」と供述。警察庁によると同法の罰則が平成20年に強化された以降、逮捕された例はわずかという。

 逮捕容疑は、昨年10月3日、出会い系サイトを紹介する内容の広告・宣伝メールを、送信元アドレスを偽って受信者の同意を得ずに無差別に送信したとしている。7人は容疑を認めている。

 岩田容疑者らは摘発を逃れるため、サーバーを中国やフィリピンに設置していた。府警は、同社が平成21年7月から約1年半で利用料として約5億円を集めていたとみており、容疑を裏付けるため約110人態勢で都内の同社事務所や岩田容疑者の自宅など15カ所を家宅捜索した。

 同社は3つの出会い系サイトを運営。メールは女性の名前で「一度会っていただけませんか」などと書かれ、出会い系サイトのアドレスが記載されていた。利用者がポイントを購入し、サイトで異性にメールを送ったりするのにポイントを使う仕組みという。

巧妙化 海外経由は摘発困難

 出会い系サイトの運営会社の社長らが一斉に逮捕された今回の事件。近年、サイバー犯罪は手口が巧妙化しており、京都府警の捜査関係者は「悪質な迷惑メールが子供たちの携帯電話にも送りつけられており、こうした状況から子供たちを守らなければならない」と話した。

 野放し状況にあった出会い系サイトの勧誘メールを規制する目的で、迷惑メール法が施行されたのは平成14年。罰則規定がなかったため状況に大きな変化はなく、17年には最高100万円の罰金などの罰則が設けられた。

 しかし、受信拒否の連絡があった場合のみに送信を禁止する「オプトアウト方式」だったため効果は大きくなく、20年には事前に同意した相手以外の送信を禁止する「オプトイン方式」が導入され、罰金額の上限が3千万円に引き上げられた。

 それでも、迷惑メールが海外のサーバーを経由して送信されたり、受信者の知人を装って送信し、受信者のパソコンをウイルス感染させた上で、さらに別の送信元から迷惑メールを送ったりする手口も登場するなど、巧妙化の一途をたどっている。

 日本データ通信協会(東京)によると、協会に寄せられる迷惑メールの相談の約7割は、現在も出会い系サイトの勧誘に関すること。相談件数は今も増えており、多いときは1カ月間に500件の相談があるという。

 今回摘発された運営会社から送られた迷惑メールについては、総務省にこれまで約24万件もの苦情が寄せられていたという。

 「特に、海外サーバーを活用する犯罪が摘発の大きな壁になっている」と指摘するのは、サイバー犯罪に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法)。「海外を経由した迷惑メールは一般的に海外の警察の協力なしに摘発するのは困難で、膨大な時間がかかる」と話す。

 今回、府警ハイテク犯罪対策室などは海外の警察の協力を得ずに独自に摘発。園田教授は「海外の警察によっては力を貸してもらいにくいケースもあり、そういう意味でも今回の摘発は意義が大きい」と、今後こうした摘発が増えることを期待している。

 

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