NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」(1968年)や同局のドラマ「阿修羅のごとく」(79年)などで知られる演出家で元NHKディレクターの和田勉(わだ・べん)さんが今月14日午前3時17分、食道上皮がんのため川崎市の老人福祉施設で死去したことが18日、明らかになった。80歳だった。葬儀は近親者のみで済ませ、後日「お別れの会」を開く予定。妻で衣装デザイナーのワダエミ(本名和田恵美子=わだ・えみこ)さんが喪主を務めた。
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「ガハハおじさん」として親しまれた敏腕演出家が静かにこの世を去った。和田さんは08年に食道上皮がんと診断されたが、手術や延命治療を拒否。病院や老人福祉施設で闘病生活を送っていた。テレビで豪快な笑顔と周囲に遠慮なく繰り出すダジャレで笑いを誘っていた姿とは裏腹にひっそりとした晩年を過ごしていたようだ。
葬儀・告別式も近親者のみの密葬で執り行われた。58年に結婚し、50年以上も連れ添った夫人のワダエミさんが喪主を務めたが、コメントも発表せず、この日、都内の自宅に姿を見せた長男も取材に応じることはなかった。
87年にNHKを定年退職した和田さんは、演出家としてよりもバラエティータレントとして活躍していたが、02年に講師を務めていた大学の20代女性生徒からセクハラで訴えられて以降は表舞台から姿を消した。
しかし、演出家としての実績は華々しく、大河ドラマの草創期にはなくてはならない人物だった。早稲田大学を卒業後、53年にNHKに入局した和田さんは話題作を次々と手がけ、同局の看板ディレクターとしての地位を確立。アップを多用して俳優の表情を見せる演出で知られ、八千草薫(80)、大谷直子(60)ら多くの女優の才能を開花させた。
「天城越え」(78年)と「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」(84年)では2度の芸術祭大賞を受賞しており“芸術祭男”の異名も取った。NHK退局後には、映画「ハリマオ」(89年)や「完全なる飼育」(99年)で監督も務めた。
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