おおいた (八幡浜〜臼杵・別府)
 【宇和島運輸株式会社】
 評価:★★★
宇和島運輸で最新鋭の快適フェリー!


          おおいた(航海中)
平成16年1月に就航した宇和島運輸最新鋭のフェリーで、建造は内海造船。通常は八幡浜〜臼杵航路なのだが、時々「さくら」と入れ替わって別府航路に就航することもある。船内の配置は「さくら」とよく似ているが、最近のフェリーの傾向どおりに「人と自然にやさしい」という事でバリアフリー設備を充実させている。わずか2時間強の航海には十分すぎるほど大きくて快適な船内。横揺れ防止にアンチローリングタンクを設けている。

平成16年就航。総トン数2450トン。
(利用時期:平成21年5月)

 Cabin〜船室は快適か?
等 級  設備・感想など
特 等 ・船首の角部屋に位置し、1室のみ。テレビ付き。トイレと洗面台が別室に備わる。スリッパ有り。
・定員は4名で、ベッド2名+和風の小上がりに2名分の枕、マット、毛布の寝具がある。ベッドの幅は1mで寝具はシーツなしの毛布。
・深夜入港で客が起きない事を防ぐためにか、放送音量調節ができず、室内から部屋をロックできない
・2時間ちょっとの航海には不要とも思えるぐらい豪華で広い部屋だが稼働率は低いと思う。
(※平成16年1月現在の情報です。)
1 等 カーペット敷きの和室でテレビ、スリッパ付き。
・枕、マット、毛布の寝具が用意されている。
・4部屋とも部屋の広さや仕様が微妙に異なるのだが、どの部屋もなぜか法定定員は12名。寝具のセット数とは異なるためか、ドア上部の定員表示をテープで隠していた。(定員より寝具のセット数は少ない)
・大きな窓が気持ちよく、どの部屋も窓の外は海で外部デッキから覗かれないような配置となったのはうれしい。
・食事やパソコンを使うときにテーブルがないので不便。折りたたみ式のちゃぶ台を用意して欲しい。

2 等 ごく普通の大部屋だが、区画の1つに車椅子で上がれるようにスロープがあったのが印象的。
・有料(100円)で貸し毛布があるが、混雑するとき(寝るな、座れと言われる)は中止される。
・以前はすいている時は2階の2等室は施錠していたものだが、すいていても開放してくれていた点は好印象。団体乗船時は団体席としてブロックされる事もある。

特 等 特 等(和風スペース側) 1 等 (A室)
1 等 (B室) 2 等 (2階) 2 等 (1階)
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
前に就航した「えひめ」と比べるとスカイラウンジが無くなったが、わずか2時間強の航海には十分すぎる設備を有している。
公室名  設備・感想など
エントランス ・船の規模や短い航海時間に似合わない広々としたロビーが広がる。
・喫煙コーナーが自販機前の集煙機の箇所で指定されている。(囲いなし)
・GPSによる船位を表示するモニターと、周辺観光地や船内案内の情報端末あり。
・自販機の裏側に小さなゲームコーナーあり。
売 店 ・弁当(740円)、お菓子、おつまみ、お土産等、現実的で最小限の品揃えだが、必要十分であると思う。
・なぜかお土産用のお酒の販売が充実。オリジナル商品もあり。
・ビール(小)300円。深夜時間帯の販売の可否は不明。
・早朝深夜の便では出港するとすぐに閉店となり、係員が不在となるので注意。
自動販売機 ・ジュース120円。飲酒運転防止や未成年に売らない目的なのか、酒類の自販機が無い。
・他、カップめんやお菓子、アイスクリーム、煙草(成人識別対応)の自販機がある。
ラウンジ ・上等級の区画に「ラウンジ」があり、昼間は船首方向を眺めながらソファーでゆったりとくつろげる。他の船に比べてソファーが豪華になり、クッションが数個置かれており快適度が向上している。
・土足禁止で、スリッパが用意されている。
・上等級区画の入り口のドアには1等特等以外立入禁止の掲示があり、船首側の通路が見通せなくなっているので2等客の不法侵入は防げるかと思う。
トイレ ・洋式のみ。便座除菌クリーナーあり。
・無人の時は消灯しており、人の気配をセンサーが感知すると照明が点灯する。
公衆電話 ・撤去済み。旧電話ボックスは授乳室としている。
分煙の状況 ・喫煙はエントランス自販機前の集煙器のある場所に限定。隔離はされていない。
※船内数箇所に監視カメラあり。
エントランスホール 自販機コーナー ロビー
マッサージ機 1等ラウンジ ゲームコーナー
 Infomation〜船内案内・感想など
数年前まで続いた他社との異常な価格競争は落ち着いたのだが、燃料費高騰もあってか、運賃が急に高くなったなと感じる。数年前までは距離の長い方の別府航路でも2等で2千円しなかったように記憶しているが、いまや3020円。便数が多くて利便性が良いのは確かなのだが。

2時間半程度の航海時間を考慮すると、椅子席の2等と小さな売店程度の設備しかなくても仕方ないような航路なのだが、うねりのある豊後水道を航海するせいか、椅子席ではなく和室の2等や上等級の設置など、予想外に大型で設備の整った船だと感じる。

最新鋭の船という事で、時代の流れに対応してバリアフリー施設が充実している。乗用車を客室のある階へスロープで直接乗りつけて移動できるように、乗用車をデッキ積みにできるスロープウェイ、車両甲板から客室の階へ移動するための階段昇降機、点字での掲示物など。ただ、スロープウェイを使ってのデッキ積みは、満船時は一般の乗用車にも行い、これに当たると最初に乗船して下船は後になり、しかも潮風にクルマが吹きっ晒しになってしまう。何度か目撃した事があるが、気の毒に感じたし、個人的にはデッキ積みは嫌だなと思う。

少し前まで前近代的な手書きの予約台帳を使っていたのだが、機械化がなされた模様で予約はスムーズになった。ただ、電話予約すると、「当日キャンセルは手数料を取るので、変更やキャンセルは前日までに!」と念を押された。本当に請求できるのかは「?」だが、航路事情的に、クルマで早めに到着したら、先に出港する他社便にでも乗船したくなるもの。それをけん制して顧客を自社便に引き留めるための工夫だと察するが、こう言われると次から予約をしにくくなると思う。予約精度の向上も大事だし、微妙で難しい問題だなと感じた。(実際、ネットを見ていると、早く港に着いたので他社に乗ろうとしたらキャンセル料を!と言われて止む無く待ったという話もあった。)

客室での接客態度は以前に比べてとてもソフトになり、おじさま達も他社との競争を意識して頑張っているなと感じたものだが、車両甲板での甲板部の接客態度については、残念ながら並行他社には全く及ばない。運航部の船員さんに「接客態度の向上を!」と言ってもなかなか難しいのかも知れないが、客にとっては車両甲板での態度もその会社のサービスを判断する重要な要素だと思う。できていない会社が多いので、並行他社のようにできている会社があれば輝いて見えるもの。

港で配布している小さな時刻表は、船内の写真や船内休憩の案内など、センスが良く、必要な情報が詰まっているものと感じた。マニア的発想かも知れないが船会社のパンフレット等で社旗(「宇」の文字の旗)が印刷されているのは歴史ある船会社らしくて好き。

配船については、本船は基本的には八幡浜〜臼杵航路ではあるが、別府航路に就航することもあり、明示できないようだが、最近会社HPで配船表の公表が始まったので、乗りたい船がある人はHPを確認すると良い。

どうでも良いことかも知れないが、本船では船内放送のテープが前のもので、宇和島運輸のテーマソングがないものだった。
   船 室 構 成 (法定定員につき実際の営業定員とは異なります。) 合 計
特  等  洋室4名×1室 4名
1  等  和室12名×4室 48名
2  等  和室260名×1室 193名×1室 453名
ドライバー室  洋室30名×1室 30名
 更新履歴
H16.01.23 新規掲載
H21.05.23 評価を3点に加点。船内写真を追加し、大幅に書き直しました! 

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