さんふらわあ あいぼり/こばると (大阪南港〜別府/小豆島季節便)
 【関西汽船株式会社】
 評価:★★★
ダイヤモンド化が進む老舗客船会社


        さんふらわあ あいぼり(別府港)
別府航路最後の純客船「あいぼり丸」「こばると丸」の名を受け継いだフェリー。大阪〜別府の下り直行便と上りのみ松山寄港で運航している。多客期には大阪〜坂手(小豆島)間に就航している。ダイヤモンドフェリーの営業方針に合わせさせられているようで、1等の運賃を昨年10月に大幅に変更したばかりなのに、2月から等級呼称をダイヤモンドに合わせて全てカタカナに変更してわかりにくくなった。

平成9年就航、総トン数9200トン。
(利用時期:平成22年12月)
 Cabin〜船室は快適か?
等 級  設備・感想など
デラックス ・バス、トイレ(温水便座)、空の冷蔵庫、テレビ付き。1名部屋と2名部屋があり同運賃。
・ユニットバスは三菱下関建造船でよく見る上げ底の使いにくいタイプ(韓国製)。お湯の水圧は良いとはいえないが、以前よりかなり改善されて「我慢の範囲内」。
・テレビ、ゆかた、スリッパ、茶器セット(電動ポットで大容量)、ティッシュペーパー、サービスタオル、歯ブラシ、据付型のリンスインシャンプーとボディーソープ、ドライヤー、便座除菌クリーナー、意見を書く用紙、ある船旅の雑誌があった。アメニティー類はダイヤモンドフェリーと比較するとかなり劣る。
・ベッド幅は1名部屋は120cm、2名部屋は100cm、寝具はふとんで快適。予備の毛布あり。
・放送音量の調節可能。空調は天井のつまみで風量のみ調節可能だが、効果が良くない。
部屋個別の調整ができずに著しく不便に感じるし、旧特等クラスとしては致命的な欠陥。
・カーテンの遮光性が良くないので夜があけると部屋が明るくなって寝苦しい。
ファースト ・窓付きの4人部屋。(2段ベッド)洗面台、テレビ付き。
・ゆかた、スリッパ、歯ブラシ、安物のサービスタオル、ハンドソープ、ティッシュペーパーの備品がある。
・ベッド幅は80cmで寝具は毛布(質が悪い)。シーツが2枚に改善。
・照明が暗い感があるものの、窓側の小上がりが寛げてとても快適。座布団が追加されていて改善。
・相部屋の可能性を承諾しての利用は一切できなくなり、必ず貸切が必要と改悪された。閑散期には2名からなら貸切料金不要の企画を行っている。
スタンダード ・旧1等の内部屋である1人部屋と2人部屋をダイヤモンドフェリー直行便に合わせてスタンダードに改称して値下げ。テレビ、洗面台付き。
・ゆかた、スリッパ、歯ブラシ、安物のサービスタオル、ハンドソープがある。
・ベッド幅は80cmで寝具は毛布(質が悪い)。シーツが2枚用意されている。
・窓がないので圧迫感があるが、値下げとなったので納得できると思う。携帯電話の電波は航海中はほとんど通話できないと思った方が良い。
ツーリスト
ベッド
・窓なしの4、8、12人部屋。(部屋の指定が可となった) ベッドランプにコンセントあり。
・寝台幅は80cmで寝具は毛布、柔らかい枕、シーツ1枚。スリッパあり。
・4名部屋は個室扱いとなり、定員又は貸切でないと販売しない。
ツーリスト ・マット、枕、毛布をセットした指定席。(小豆島季節便は自由席)
※小豆島季節便では寝具等がやや異なるらしい。
デラックス デラックスシングル ファースト
スタンダード(1人部屋) ツーリストベッド ツーリスト
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
公室名  設備・感想など
案内所 ・深夜は閉鎖されていたようだが奥の部屋に当直がいるとの事。
・エントランスに基準航路を示した海図(日本測地系の古いもの)の掲示あり。
・パンフレット、旅行企画商品、港の地図など、チラシ類がとても豊富。船のパンフレットはフェリーさんふらわあ全船の全てのタイプの部屋写真があってとても良い。
・乗船記念スタンプあり。
・船内従業員の接客態度は大変良好。船内で物を買おうという気持ちにさせてくれるものだった。
・船内テレビで映画放映あり。多少時間が遅れていた。
自動販売機 ・ジュース120円、ビール(大)300円、ビール(小)220円と市価同様に大幅値下げ。アルコール類は23時から販売停止になる。
・飲み物の他、カップラーメン、アイスクリーム、お菓子も扱っている。
・展望通路に冷凍食品の自販機があり、全品350円に値下げされていた。(カレー、フライドポテト等)
・煙草の自販機は成人識別対応済み。
レストラン ・カフェテリア式。新門司発着の他社に比べるとメニューの割高感は否定できない。
・早朝入港ながら、朝食の営業があり、朝食向け商品の価格が大幅に値下げされており、焼きたてパンの販売も開始されていた。(以前は閑散期はテイクアウトのみだった) 以前の朝食のライスのサイズが夕食と異なるという不具合は改善されていた。
・上りでは松山出港時は軽食営業との事だが、客が少ないと営業しない場合もあるようだ。
・以前は全席禁煙だったが、仕切りを設けて分煙に変更されていた。半分以上が喫煙。
・レストランへの持ち込み、席の先取りはお断りとの掲示が目に付くが、レストランの商品を一切購入せずにカップめん等を堂々と持ち込む馬鹿者が数組。ドライバー様へは持ち込み黙認。
・電子レンジあり。(商品を暖めるためのもので、持ち込み食材の加熱はドライバー様以外はやめろよな。)
・メニュー例:日替わり定食1000円、カレーライス550円、焼きそば400円、冷奴200円、おでん100円サラダ300円、ライス150〜250円、みそ汁150円、生ビール(中)500円、ソフトクリーム300円など。朝メニューは洋食セット700円、ライス中とみそ汁200円、焼きたてパン150円など。
ばいてん ・夜間以外はほとんど営業しているので便利。品数もお土産、お菓子、オリジナルグッズなど豊富。
・オリジナルペーパークラフト(420円)を買うと希望すれば船長の直筆サインを入れてくれるらしい。
展望通路 ・「展望通路」は、北海道航路を真似したのだろうが、狭くて中途半端。
・マッサージ機あり(5分100円)。
・椅子が窓側だけでなく壁側にも増設されていた。
・「ラウンジ」が併設しており、関西汽船の昔の絵葉書やポスターなどが展示されていた。繁忙期は臨時席として毛布が敷かれる。また、長椅子を寝床とする2等客がいるので、深夜に歓談できないので何とか排除してほしい。照明を明るくすれば寝床とする者が減るのではないか。
展望
ラウンジ?
・特等の船首側の、窓のある狭い通路に椅子を数脚置いて、「展望ラウンジ」としていた。夜間は照明を落としてカーテンで閉じていた。
・むらさき丸、くれない丸の説明が延々と掲示されていたが、夜間で暗くて読みにくく残念。
浴 室 ・展望式。深夜は閉鎖される。
・洗い場は7ヶ所でシャワーの水圧は良好だった。
・100円玉返却式コインロッカー、ドライヤー、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープあり。
・ほんの少し波(2m位)あり、若干船首が波をたたいていたら荒天のため?閉鎖されていた日もあった。
トイレ ・船内のトイレは洋式中心で和式も併設されている理想のタイプ。洋式のシートペーパーはないが、特等のユニットバスと同じ除菌クリーナーが備えられている。
・日本語の他に某国の言語で使用済の紙を流すように注意の掲示がある。日本では当たり前の事だと思うのだが?文化の違いに困り果てている従業員の苦労が窺える。
・女性用にのみベビーベッドがあるようだ。
ロッカー ・エントランスにコインロッカーあり。有料、100円。
公衆電話 ・テレホンカード専用のみ。 隣に携帯充電器あり。(有料)
給湯・冷水 ・給湯器、冷水器あり。紙コップなし。
分煙の状況 ・船内では展望通路後方の小さな喫煙コーナーを除いて公室は禁煙と厳しい。ドアが付いて椅子が設置されていた。
・個室での分煙は一切やっていない。きちんと消臭しているようで、室内で煙草の臭いは気にならなかった。
※エントランスやレストランに空気清浄機あり。船内数ヵ所に監視カメラあり。
エントランスホール 展望通路とラウンジ レストラン
展望浴室 船首の「展望ラウンジ」 ある日の日替定食
 Infomation〜船内案内・感想など
(NEW)「SFぱーる・ごーるど」の項で批判した「さんふらわあ アップグレード券」。以前、ツーリストで乗船(その後、気が変わって船内で等変したけど) したときに頂いたアップグレード券を持って2ランクアップ期間を狙って港へ行ったけど、残念ながらスタンダードが満席で券を利用できなかった。窓口嬢いわく、「本船はスタンダードの部屋が少ないので、なかなか使えない」との事。来年もまた懲りずに配布を行うようだが、今度は「ツーリスト→ツーリストベッド」のみのアップグレード券へと縮小される模様で、ツーリスト利用者にしか配布しないらしい。私がツーリストベッドを利用する事はほとんどないから、この企画への興味はないけれど、ツーリストベッドの利用者から見たら不公平な企画だと感じると思う。(前の企画より不公平度が縮小されているからまだまだマシかな) また、「1グループに1枚進呈」とあるが、グループでも別々に手続きすれば人数分貰える。1人で1枚、4人グループでも1枚、効力はどちらでも1枚で4人までアップグレード。毎度のことながら、なんともバランス感覚に欠けている企画だと感じる。

(NEW)港で配布されているポケット版の「運賃表・時刻表」なのだが、 「ファースト及び4人部屋ツーリストベッドは1名でのご予約・相部屋利用はできません。<省略>ルームチャージ料金(定員不足分人数×大人定額運賃の50%
(割引不可)が必要となります。」 と、客の神経を逆撫でするように記載を強化している。ひまわりカードの大幅割引が子供運賃には適用できるのに、貸切料金に適用しないのは子供が乗船する以上の貸切料金が課せられる極めて不公平な運賃体系となる。ただ、共同営業の他社の方針に合わせさせられたのだろうと想像できるし、本船には窓付きのデラックスシングルが設定されていおり、不当な貸切料金を払う必要性はあまりないので減点は見送った。

(NEW)同じ港を表すのに、パンフレット、掲示物、切符、HP等で様々に異なる表記が見受けられる。(例えば 大阪、大阪南港、南港コスモ、ATC・・・) ややこしいので、表記方法を統一してはどうだろうか?

(NEW)船内には共同営業の他社にはない、アンケート用紙と投書箱が設置されている。一時期その他社でも設置していたのだが、客の意見を聞きたくなくなったのか?撤去されている。客の要望は我儘で多岐多様に渡っており、全部聞く事は無理なものだが、仮にまともに相手にしていなかったとしても、投書箱を設置して意見を聞く態度を示すだけでも印象が良くなると思う。

(NEW)船内放送の多くが録音による放送になった共同営業の他社に対して、本船では女性従業員の肉声による放送で暖かみがあっていいなあ・・・と感じていたものだが、通常の放送はそのままだが、その他社で使っている録音された英語放送を流すようになっていた。外国のお客様もいるので、英語放送が必要になったのかも知れない。飛行機のように肉声での英語放送は無理だと思うので仕方ないかと思う。

(NEW)予約の電話保留音、港の掲示物等で、自販機の正価販売を積極的にPRしていた。大阪南港の切符売場の隣にコンビニがあるので、持ち込みが多いのだろうと思い、気の毒に感じる。コンビニで買ってもジュースやビールがぬるくなるので、船内で積極的に購入して欲しいと思う。

以前、ファーストとスタンダードの寝具について苦言を書いたのだが、各ベッドに備え付けているシーツが2枚に改善されていた。マットに敷きこんでいる青い敷布は関西汽船伝統?のシワを誤魔化しやすいもので、毎回交換していないのは明らかなのだが、清潔なシーツが2枚あれば、敷くのに1枚、掛け毛布に1枚と使えば気持ち良く就寝できる。並行航路であるダイヤモンドフェリーのスタンダード船室では白い敷きシーツをマットにセットしているので、バランスに欠ける感も否めないが、本船は小豆島便に就航する場合があり、その場合は清掃が絶対に間に合わなくなるので、船会社側の事情を考えたらギリギリの妥協点ではないかと想像する。

小豆島便運航日に、系列の旅行会社主催で坂手港にて下船せずに往復乗船するクルーズの企画を販売しており、ブリッジ見学や食事の特典がある。困ったことにスタンダード以上のみ設定で価格はあまり安くない。オレンジ同様、1人ではちょっと参加しにくいかと。

等級呼称のカタカナ化の傾向が止まらないようだ。「スタンダード」の呼称を2等として使用している会社や、これから使用予定の他社もあるが、ここは旧1等である個室を「スタンダード」(→標準)と呼んでいる。なら、それ以下は何なのか?例えば国際線航空機でビジネスではなく「ファースト、スタンダード、エコノミー」のような呼称だったら感じが悪いと思いませんか?志布志航路はスタンダードがないから、どうしてもカタカナにしたいのなら無難な呼称に感じるが、ここはスタンダードの位置づけに違和感を感じる。会社側のPRではカタカナで「親しみやすく」とあるが、「わかりにくく」 「差別的に」なったと思う。お年寄りのお客さんにも不評のようで、窓口で「それは2等のことなの?」のようなやりとりを耳にした。一緒に利用した船オタではない知人も一言、「意味がわからない」との事。等級呼称変更に伴い、ルームキーや船内配置図などの掲示物等、シールで誤魔化すのではなく、きちんと新替えしていた点はご立派。

等級呼称をダイヤモンドフェリーと同じように統一しておきながら、デラックスについては名前は同じでも何故か本船の方がやや高額となる。しかし部屋の質や備品等の充実度では明らかにダイヤモンドフェリーより劣っている。悪い部屋に高い運賃では利用者としては納得できないと思うので、せめて同額に値下げとしてはどうだろうか?デラックスのシングルについては1人当たりの占有面積がツインよりやや広くなるので値下げする必要はないと思う。

本船は下りは大阪〜別府直行、上りは別府〜松山〜大阪と寄港する変則的な航路に就航している。2月に「SFこがね、にしき」が廃止になったときに、下りも松山に深夜に寄港する予定だったそうだが、地元住民の反対が強く、上りのみの寄港となってしまったようだ。その結果、下りは運航していないが、上りのみ運航の片道という大変珍しい運航体制となった。片道だけの運航では営業的には大変難しいのではないかと想像する。利用者の立場としては、ダイヤモンドが直行なので、似たような時間帯に本船も下りで直行するよりも旧松山寄港便に近い時間帯で寄港便として運航してくれた方が便利だとは思うが、九州へ早朝着としてトラックの利便性を最優先したいようなので、ダイヤについては利益になるように会社側の方針が正しいと理解するしかないと思う。

消灯後の公室が異様に暗く、展望通路には多数の客が遅くまで残っているにに、薄暗くて雰囲気が悪かった。船室の消灯は当然だが、公室については夜更かしする客も多いので、少なくとも本を読むことができる程度には明るくしておいた方が良いのではないかと感じた。

外国人の乗船が多いのか、日本語の他、英、中、韓国語が併記されたパンフレットや掲示物、看板があった。中には外国語のみの掲示物も・・・。訳に少々無理がある所もあるが(英語の場合!他はわかりません・・・)、国内フェリーのなかでは画期的な取り組みかと思う。

少し前までは、健康増進法なんたらでレストランは全席禁煙と高々に謳っていたのだが、常連ドライバー様からの強烈な苦情に負けたのか、レストランに仕切りを設けて分煙に変更されていた。変更後は喫煙席の方が多いくらい。飲食店では禁煙にすると売上が下がるのが常識らしい。元々、実情にあっていなかった禁煙だったので、やっぱりな・・・というのが私の感想。ドライバー様達は笑顔で飲酒、喫煙していた。

前に就航したSFこがね・にしき は外見が悪くてヲタには不評だったが、本船では車輌航送能力は確保しつつも、まあまあの外見となった。たしか、三菱下関の書いた本船の概要にも湾周にも就航するので外見にも配慮したとあった。
   船 室 構 成 合 計
デラックス  洋室2名×8室 1名×6室 22名
ファースト  洋室4名×24室  96名
スタンダード  洋室2名×10室 1名×8室 28名
ツーリストベッド  洋室12名×9室 8名×7室 4名×18室 236名
ツーリスト  大部屋 258名
ドライバー室  洋室1名×50室 4名×5室 70名
 更新履歴
H18.08.29 写真を追加。本文を若干追加及び内容の確認。
H19.03.15 サービス体制の確認と、本文の若干の加筆。
H20.05.14 サービス体制の確認と若干の加筆。
H21.02.12 船体写真、特等2人部屋の写真を差し替え。苦言を追加。
H21.10.25 評価を2点に減点。1等ワイド、スタンダードについての意見を追加。自販機価格修正など。
H22.05.03 サービス体制の確認。感想を加筆。
H22.07.20 評価を3点に加算。寝具についての苦言を削除。船体外観、ファーストの写真を差し替え。
H22.12.31 感想を追加。デラックスの備品情報を更新。

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