【野球】ア軍に戦いの場を移した松井にとって、プロ生命を左右する１年になる２０１１年は基本的にＤＨ専門での再出発となる。これまでは打席でのリズム感をつかむためにも、かたくなに守備にこだわってきただけに今季は新たな立ち位置で戦いに臨まなければならない。石にかじりついても結果を残さなければ待っているのは“クビ”だ。そこで意外な新打法を取り入れるという。「ホットクリームをあそこに塗るとすごく気合が入って集中できるんだよ。ただ、まだ試合で試したことはなくてね。何かを変えたい時にやろうと思っているけど…」
　ホットクリームは血液の循環を促し、体の冷えを防ぐ目的でスポーツ選手がよく使用している。松井も古傷の両ひざを保温するため塗っていたが、ある時意外な使用方法に気づいた。急所に塗ってみたところ「すごく気持ち良くて、テンション上がるな」という効果を発見。下半身の感覚が鋭敏になり集中力がアップするというのだ。
　１０年のキャンプ中に気づいたものの、実戦で使用するまでには踏み切れなかった。しかし、１１年は野球人生を懸けた勝負の年だ。ＤＨをなりわいにできるかどうかの岐路となるだけに、打席で新たな取り組みを行う必要がある。今こそ「何かを変える」時期と考え、この“ホットチン打法”の実戦解禁を決めた。
　スランプが長引いたことでエンゼルス・ソーシア監督の評価を下げ退団につながった。１１年はこの秘策でスランプを完全に断ち切り、ゴジラの力強い咆哮を新本拠地で響かせるつもりだ。