それは、各種のアンケート調査において、「今すぐに欲しいものは見当たらない」という回答が多いことからも明らかだ。つまり、物質的に満たされているのである。
豊かでも「幸福感」が乏しい日本
次世代への慈善運動は現役世代の罪滅ぼし?
近年、貧富の差が拡大したと言われるものの、それでもわが国においては、1日を1ドル以下で過ごさざるを得ない、いわゆる「絶対貧困」などのカテゴリーはほぼゼロに近い。しかも、多くの家庭にはテレビが2台、3台とあることが普通であり、一般国民が家電製品や衣類など身の回りの物に事欠くことは、とりあえずほとんどないと言ってよいだろう。
それでも、我々日本人は、「幸福感を実感することが少ない」と言われている。特に1990年代初頭のバブル崩壊後、経済低迷が長期化したこともあり、景気回復感さえなかなか肌で感じることができない。
そうした状況下、国のリーダーである政治は、多額の借金をして社会制度を維持することに汲々としてきた。その結果、政府の借金は、国の稼ぎであるGDPの2倍にも達しつつある。
その借金は、いずれ我々の次の世代が背負わせることになる。我々の子どもや孫は、生まれながらにして「国債返済の負担」を背負わなければならない。それこそ、世代間格差との議論も目立ち始めている。
今回の出来事は、そうした現代世代から次世代への「罪滅ぼし」の意識が発現しているのかもしれない。政治は「タイガーマスク運動」を礼賛しているばかりではなく、その背景にある要因を分析してみることが必要だろう。