家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の感染拡大に絡み、和牛牧場を全国展開する畜産会社、安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県)の宮崎県内の大規模農場で通報の遅れなど管理が不適切だったとして、県が家畜伝染病予防法に基づく初の改善指導に乗り出すことが17日分かった。
有識者らで構成する県口蹄疫対策検証委員会(座長・原田隆典宮崎大教授)が14日まとめた最終調査報告書で、同社が同県川南町で725頭を飼育していた第7例農場での通報遅れを指摘した。
口蹄疫は昨年4月20日、同県都農町の繁殖農家で国内で10年ぶりの感染疑いが確認された。県検証委の報告では、第7例農場では4月8日以降、食欲不振の牛が多発。専属獣医師は同22日、複数の牛に発熱やよだれなどの症状を確認したが、ひづめに水疱(すいほう)がなかったため届け出ず、県が立ち入り検査を通告した24日になって届けた。この農場では3月下旬に風邪などの症状を示す牛がいたことも作業日誌で確認されている。
同社の専属獣医師は、この農場を含む13農場の1万数千頭を1人で担当。日常の家畜の健康状態のチェックや薬の投与は一般従業員に任されていた。県畜産課は「従来通りの管理体制では経営再開を認めない。事実を確認し、速やかな改善を求めたい」としている。同社は「故意に通報を遅らせたわけではないが、批判や指導は真摯(しんし)に受け止め、改善したい」とコメントした。【石田宗久】
毎日新聞 2011年1月18日 15時37分