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はりまCU:市民病院拡充、最優先 赤穂市長3選、課題を検証 /兵庫

 <「いま」を伝える>

 ◇実行力に期待

 豆田正明氏(66)の無投票3選で決着のついた赤穂市長選。対立候補がなかったのは一見、市政が豆田市長のかじ取りで順調に運営されているかと思われがちだが、そうではない。数ある課題の中から播磨西部地域の中核病院・赤穂市民病院を検証する。【小泉邦夫】

 千種川右岸にひときわ目立つ7階建ての市民病院。診療20科、病床数420床を誇る。1日平均約1000人に上る外来患者を、医師・看護師ら約390人で対応する。外来患者のうち市内は約6割で、残りは隣接の相生市や上郡町のほか、岡山県備前市から訪れる人たちも多い。

 今月中旬、待合室を訪ねた。腰の治療で整形外科を受診するという70代の女性は「午前10時の予約で9時半から待っているのに、まだ呼んでもらえない。待ち時間を何とかしてほしい」と1時間を超す待ち時間に苦言を呈した。中には3~4時間待ちという人もいるという。

 このような状況に、矢野善章・事務局長(57)は「検査結果が出るのに時間を要する場合がある。予約制で待ち時間短縮に努めているが、急患や予約の間に初診の人にも入ってもらうため」と説明。「医師に体調を訴えることでストレス解消や安らぎを求める人もおり、追い返すこともできない」と語った。

 市民病院を充実させるため、約51億円かけて病院を増築する「2期構想」が4年前に発表された。だが、病床こそ、当時の380床から40床増えたものの、拡充は手つかずの状態。というのも、病院の09年度決算は約1億4000万円の赤字で、累積は約30億円にも達しているからだ。

 豆田市長の公約の一つに「2期構想の推進」とあるが、他の公約に設定されている目標年次は記されていない。矢野事務局長は「増築すれば人もいる。今は職員を抑える傾向にあり、(構想通りの拡充は)財政的にも無理。まず、できるところから徐々にでも取り組みたい」と歯切れが悪い。

 市民病院の病是は孔子の言葉で、思いやりの心をもって患者さんに接するという「恕(じょ)」。慢性的な医師や看護師不足の解消に加え、病院の拡充は市民の健康を守ることにもつながり、待ったなしの優先課題だ。トップの行動力と実行力にかかる市民の期待は大きい。

〔播磨・姫路版〕

毎日新聞 2011年1月18日 地方版

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