気温３度　イブの住宅街に悲鳴　水没する車「早く助けて　子どもが中に」

　「早く助けて。子どもが中に乗っているんです」。冷たい風が吹き付けるクリスマスイブの住宅街に、若い男女の悲鳴が響いた。福岡県太宰府市で２４日深夜、車２台が衝突し一方のワゴン車が池に転落、男女６人が死亡した事故。気温約３度に冷え込んだ現場には事故を知った近隣住民が集まり、救助活動が続く暗い水面を見つめた。
　近くのマンションの女性（２０）は「ドンと大きな音がして、すぐに近所の人たちが集まってきた。ずぶぬれになった男性と女性が、子どもとみられる名前を叫んでいた」と唇を震わせた。
　池の柵は約１０メートルにわたって曲がり、一部が車に突き破られた状態。近くに住むフリーター梶原一喜さん（２９）は「どうやって落ちたのか。自分が現場に来た時、車はほとんど沈んでいた」と救助作業を見守った。
　消防のレスキュー隊員らは路面から約２メートル下の水面にはしごで降り、水中から引き上げた人を抱きかかえ、毛布にくるんで救急車に運び込んだ。救助が続いた２５日未明の水温は５度。池には投げ込まれた数個の救助用の浮輪が浮いていた。
　衝突後、救助を試みて池に入り死亡したとみられる太宰府市青葉台のアルバイト秦智之さん（２６）の乗用車は、左前部が激しく壊れた状態で池から十数メートル離れたガソリンスタンド内に。クリスマスプレゼントなのか、後部座席には赤い紙袋が残されていた。（共同）