今春からの臨床医研修の内定者が県内で定員の6割台にとどまった。全国平均を8ポイント下回った。臨床研修医を県内に呼び込み、医師数の確保に結びつけたい県は「認知度不足が原因」と受け止め、PRを始めることにしている。【平林由梨】
医療関係者らでつくる「医師臨床研修マッチング協議会」(東京都)がまとめた。
これによると、県内では大学病院や総合病院など計27病院が来年度、計237人の臨床研修医の受け入れを表明していたが、昨年10月の締め切り時点で内定者は158人にとどまった。
県内では05年度の187人以降、減少傾向が続いていた。今年度になって内定者数はようやく下げ止まったが、定員充足率は66・7%で、全国平均の74・8%を8・1ポイント下回っている。
医師法の改正で04年度以降、医学部を卒業した学生は医師免許取得後2年間、臨床研修が義務づけられた。研修先は学生の希望と、病院の募集枠に応じて決まる。県は研修医を確保することで、その後の県内病院への就職につなげたいと考えている。
県内の定員充足率を地域ごとにみると、東部地区58・1%▽中部地区67・9%▽西部地区69・0%。地域間格差が浮き彫りになっている。
一方、大都市圏は東京都92・9%、大阪府91・1%などとなっており、県全体の低迷が際立っている。
定員に達したのは7病院にとどまり、ゼロの病院もあった。県地域医療課は「インターネットで情報を収集する学生が増えている。それに合わせて県の発信力を強化する。静岡に住みたいと思ってもらえるよう地域全体の魅力を高めたい」と話している。
同課によると、昨年6月1日現在、県内の医師は4149人。県内の医療機関が必要だと考えている医師数を861人下回っている。
毎日新聞 2011年1月18日 地方版