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東京都青少年育成条例改正の是非 都議会公明党幹事長vs.松本零士氏 (2/2)

2011年01月14日 17時05分 更新
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松本零士氏 作家の倫理観に任せて 職業差別だ

photo 漫画家の松本零士氏 =8月12日午後、東京都練馬区の自宅

 ――改正都条例が成立した

 「描く側が倫理観を根底に持っていなければならない、という点に異議はないが、なぜ対象が漫画・アニメに限られているのか。これは職業差別そのもので、無限大の侮蔑であり、屈辱を感じる。作家個々人の倫理観に任せられるべき問題であり、百歩譲ってこうした条例をつくるなら、対象を平等にしてくれといいたい」

 ――漫画やアニメは子供でも一見してわかるから対象にした、というのが都側の主張だが

 「小学生でも字は読める。全部ひらがなでポルノを書くこともできるわけで、そういうのはいいのか。映画でも、問題になるような場面を前後関係でいくらでも描くことは可能だが、それも構わないのか。奇々怪々だ」

 ――今回の条例は表現の自由の制限ではなく、未成年には売らないというのが条例の趣旨だ

 「表現を世代別に隔離しては、世の中は成り立たないのではないか。私らも子供のころは、大人向けのそういう本を回し読みしたものだが、大人向けの作品を読んで変なことをした友人なんて一人もいない。そうした作品と犯罪とは直接結びつかない。犯罪に走るきっかけは別にあるはずだ。議員の皆さんも子供のころ、大人向けの本を読んだりもして育ったはずで、それを大人になった今、ダメというのはどうなのか」

国会で議論すべきこと

 ――都条例という形で規制ができたことをどう考える

 「現在ある国の法律で十分ではないだろうか。表現の自由の根幹にかかわる問題で、本来なら国会で議論することがらだ。都条例なのだから、千葉県ならそういう作品を販売していいのかということにもなる。漫画やアニメは産業といって過言ではないと思うが、今回の件で都内から制作会社が脱出していく可能性もあると思う。都に納税している者としても、今回の条例改正は無念だ」

 ――改正条例では以前に騒がれた「非実在青少年」の規定が外れ、大人の過激な性行為の描写も規制対象となったことについては

 「条文もあっちへこっちへと揺れている中、短期間の審議で決めてよかったのか。また不健全図書指定を審議する方々は、清く正しく美しい人ばかりかと問いたい。今回の件は、個人の主観を条例化したような気がしてならない」

 ――条例改正の背景には、店頭に有害図書が蔓延(まんえん)しているという親の訴えがあったとされるが

 「私も子供の親だが、店頭に並ぶ本に気を使ったことはない。誰が青少年を不幸にしようと思って漫画やアニメを描くというのだろうか。わけがわからん、というのが今の思いだ」(溝上健良)

【プロフィル】松本零士

 まつもと・れいじ 漫画家。昭和13年、福岡県生まれ。72歳。28年、高校1年でデビュー。代表作に「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」。宝塚大教授、京都産業大客員教授などを務める。日本漫画家協会常務理事として、改正都条例に対する抗議声明のとりまとめにあたった。


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[産経新聞]

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