2009年09月20日
テレビ局の年収をグラフ化してみる(2009年9月版)
2009年09月20日11:14
先日【主要テレビ局銘柄の期末決算をグラフ化してみる……(1)スポット広告とタイム広告、業績概略】などでもお伝えしたように、在京キー局5局のテレビ局における財務状況は、お世辞にも良いとはいえない状態にある。これは何も昨年度に限った話では無く、傾向としては今世紀に入ってから見られたもの。ここ数年の金融(工学)危機による不景気化やメディアの変化に伴い、傾向が顕著になって現れてきただけの話ともいえる。それではそれらテレビ局で働いている職員たちの年収はどのようなものなのだろうか。以前【テレビ局の年収をグラフ化してみる】で掲載した2007年度のデータに、先日発売された【会社四季報】などをあわせ、新しくグラフを作り直してみることにした。
利用したデータは会社四季報最新版における、上場しているテレビ局(キー局5社、地方局4社)などの平均年収。さらに比較対象として国税庁の最新(2007年度分)【民間給与の実態調査結果】及び厚生労働省の2008年分【国民生活基礎調査の概況】からのデータを前回のグラフに加えた。
NHKについては多少細かく解説を加える必要がある。2007年度分については先の「受診料値下げ問題」に絡み総務省とのやり取りの中で明らかにされた値を用いている。そして2009年のものについては、NHKが発表している2008年度の【決算短信(PDF)】と、【職員数】を用いて計算を行った。すなわち、
(1244億円(給与)+540億円(退職手当・厚生費)÷2)÷1万0842人(職員数)=1396万円
※退職手当と厚生費の合計のうち厚生費を抽出するため、単純に半分とした
である。ちなみに平均年収の場合は普通後者(退職手当や厚生費)のうち厚生費も含めるのだが別個のデータが未公開なので単純に二分した。仮に給与だけで計算すると1147万円となり、先にNHKが総務省に提出したとされる資料のデータとほぼ一致する。
それはともかく、このような計算・データ抽出から生成されたグラフが次の図。
テレビ局年収ランキング(上場企業+α)(単位:万円)(2007年度と2009年9月時点)
キー局のグラフは枠を黒く塗りつぶし、区別しやすいようにした。順位・大勢に大きな変化は無く、あくまでも「平均収入」でしかない。学歴、職種、保有技術、部署などで大きな差異がある。が、平均化した限りでは昨今のような業績の中でも非常に高給を支払われていることが分かる。
テレビ局は一種の専門職のかたまりで、そこに勤める職員は銀行員やパイロットと似たようなところがある。「いわばエリートのようなものだから、それに見合うだけの報酬を得て当然だ」というのが一つの意見としてあり、それはそれで正しい。ただし現状において「エリート」を名乗れるだけのものを生み出しているのか・「仕事」をしているのかどうかといえば、人によって判断が異なるだろう。転職情報誌DODAの公式サイトには【主要職種の平均年収最新データが掲載されている】。一概にテレビ局の職種と比較するのはやや難があるが、一例としては役に立つ。また、「公務員ではなく民間企業なのだから、その判断は企業単位が行う。税金によるものではないのだから、第三者が口を挟む余地は無い」という意見もある。それもまた真実。
そして今回例示した放送局はいずれも「上場企業」(のぞくNHK)。上場企業である以上、情報公開の義務はある。そして企業の構成員たる株主はその企業の経営に対し意見を述べる権利を有する。もしこれら放送局の事業内容や職員たちの働きぶり、成果物を見て、「この出来栄えでこの年収なら、むしろ不足しているのでは」と感じたら、株主となり、株主総会で「もっと職員への支払いを増やすべき」と提案してみるべきだ。逆に「もらいすぎだ」と感じたら、その想いを総会で「株主として」伝えてみるのも一つの手ではある。
やや蛇足ではあるが、上場テレビ局9社の、今回と前回の年収の推移をグラフ化しておく。
テレビ局年収変移(2007年度と2009年9月時点、上場企業)
フジメディアについては大規模な組織変更を行ったため、やや仕方のないところがある。また、各社でリストラが進んでいるはずなので、それを考慮すれば、各社ともそれなりに削減努力をし、それが数字として表れているようだ。
これらの書籍が参考になります
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