米アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」の販売システムに変化が生じた。米国ではAT&Tの1社独占だったが、最大手のベライゾンでも発売が決まったのだ。
日本でも同じ動きが出るのではとささやかれる中、ベライゾンと同じ通信方式を採用するKDDIが注目されている。海外では、2011年には「新型アイフォーン」が日本に出荷されると報道され、KDDIが「第2のベライゾン」となる可能性も出てきた。
アイフォーンは米国で、最初に発売された2007年からAT&Tの1社だけで取り扱われてきた。だが、ライバルのベライゾンが米国時間2011年1月11日、「アイフォーン4」を2月10日に発売すると発表した。同じアイフォーンが、異なる2つの携帯電話会社から販売されることになる。
日本では、ソフトバンクモバイル(SBM)がアップルと契約し、独占的に販売している。だが米国で生じた変化に、国内でも将来はKDDIやNTTドコモからアイフォーンが出るのではないか、との観測が流れ始めた。
有力視されているのはKDDIだ。その根拠は通信方式。ベライゾンが採用している方式は「CDMA2000」で、KDDIと共通している。台湾のオンラインITメディア「デジタイムズ」の2011年1月13日掲載の記事によると、アイフォーンの部品メーカー関係者の証言として、アップルが11年第1四半期にCDMA2000方式のアイフォーンを700万台出荷し、日本への供給も準備しているとした。台湾にはアイフォーンの生産を委託されている企業があるため、そこが情報源となっている可能性がある。
また、米調査会社「アイサプライ」は1月11日、新方式のアイフォーンが、ベライゾンと同じ通信方式を採用する各国の携帯電話会社に出荷され、その数は11年中に1210万台に上るとの見通しを明らかにしている。これらが事実なら、国内から発売されるとすれば同じCDMA2000のKDDIからと見るのが自然だろう。
異論もある。通信分野に詳しい梶本浩平氏が「CNET」で、KDDI版アイフォーンの可能性に触れた。ベライゾンとKDDIは、同じ通信方式だが周波数の運用方法が異なるため、端末もKDDI向けに改良する必要があり、その費用をKDDIが負担できるかと疑問を呈した。仮に一切手を加えずにベライゾン版をそのまま使うと、KDDIがカバーする電波エリアの問題から「SBMよりもつながりにくい」ものになる恐れを指摘した。
むしろNTTドコモの方が、発売の可能性があるという。通信方式はSBMと同じ。海外で購入した「SIMフリー」のアイフォーンをドコモのネットワークに繋いで使える「実績」もある。
ただし、販売するとなれば技術面だけでなく、ビジネス面でもクリアすべき点は多い。アップルからはSBMと同等の契約条件を求められると予想され、KDDIやドコモがそれを飲むかは不明だ。だがアップルも、米グーグルが開発した基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマートフォンが急速にシェアを拡大している事情があり、悠長には構えていられない。「1国1キャリア制」が米国で崩れた今、国内でも何かしらの動きは起こりそうだ。
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