へらへら笑って対応、「口蹄疫で宮崎県民お断り」と豊後大野市の役人
2010年06月18日08時52分
提供:PJニュース
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【PJニュース 2010年6月18日】6月16日午後10時すぎ、読売オンラインに目を疑うような記事が配信された「口蹄疫で宮崎住民お断り・豊後大野市」。大分県豊後大野市のすべての市の施設で、口蹄疫が発生した宮崎県内11市町の住民の利用を断る方針を決めた記事である。翌日の17日、豊後大野市に抗議の電話をかけたが、対応した農業振興課の若い職員はヘラヘラと笑っていた。いったいこの事態をどう考えているのだろうか。
6月17日朝、豊後大野市の農業振興課に電話を入れた。
読売オンラインに掲載された記事のことを伝えたが、担当課でありながら職員はその記事のことを知らなかった。
その職員に、過去に宮崎県民が豊後大野市の施設を利用したことがあるのかについてたずねたが、「過去に宮崎県民が利用したことはない」と答えた。また、これから宮崎県民が施設を利用する予定はあるのかについても、「今後、宮崎県民が施設を利用することはない」とも答えた。
さらに、記事に書かれていたように、新規の申し込みはまったく受け付けないのかとたずねたが、「施設の利用については協議の上判断するので、まったく利用できないわけではない」とし、読売新聞の「宮崎住民お断り」とはニュアンスが違うものであった。
そこで、読売新聞大分支局に問い合わせた。
担当の記者は取材中で不在であったが、豊後大野市が出したプレスリリースをもとに適切な取材を行っているとのことであった。
午後、宮崎県の機関である中部農業改良普及センターからタオルがほしいとの連絡が入った。口蹄疫支援に関する会議を途中で抜け出し、急遽、バスタオルなど1000枚余りを届けた。
その帰りの車中で流れたNHKラジオのニュースに耳を疑った。
6月19日に開催予定の九州地区の少年野球大会で、宮崎県のチームが参加することが分かり、豊後大野市は球場の使用を認めないとしたのである。
午前中の農業振興課の職員の話には、このことは出なかった。ましてや、子どもたちの野球の大会である。この日のために一生懸命練習を積み重ねてきた子どもたちのことが、脳裏を横切った。
ハンズフリーの装置を使い、すぐに豊後大野市の農業振興課に電話をかけた。午前中に対応した職員は別の電話に出ているとのことだったので、その職員にさきほどのNHKニュースのことを伝えると、ヘラヘラと笑いながら、「私は担当ではない」ようなことを言い出したので、一喝した。
その後、総務課にも問い合わせたが、少年野球大会のことなど知らない様子であった。
「いったい、誰がきちんと情報を把握しているのだ!」
電話口での担当者が代わった。橋本祐輔市長であった。
19日の少年野球大会については急な話だったので、大会の主催者に球場の使用を認めないことを伝えたようだ。市は少年野球大会の主催者ではないので、宮崎県チームはお断りとしたわけではないと説明した。
橋本市長は以下のように、マスコミの対応にも触れた。
「記事に書かれているように、感染地域の宮崎県民のすべてを『お断り』としたわけではない。市の施設の利用については、事前に相談し、場合によっては、ご遠慮いただくことはある。豊後大野市にも、341戸の畜産農家があり、市民の生活を守らなければならない。報道には、一部事実誤認がある」
「ただ、私(注:橋本市長)も、宮崎県民のみなさんと同じ気持ちである。口蹄疫の被害に遭われた畜産農家のみなさんのことを思うと、心が痛い。お見舞いを申しあげたい」
「また、宮崎県民の方からのお問合せに対して、うちの職員がヘラヘラと笑いながら対応したことに対しては、謝罪したい」
確かに行政のトップとして、豊後大野市民の生活を守らなければならない。このことは理解できる。しかし、宮崎県境にある鹿児島県の霧島市、曽於(そお)市、志布志市は、県境の道路の一部を封鎖しているものの、豊後大野市のように市の施設の利用制限などは行っていない。
この電話をかける前に、すでに宮崎県の河野俊嗣副知事は抗議のコメントを、また、篠原孝農林水産副大臣は「風評被害の典型的な例。消毒とかの協力をするのが大事であって、そこまではいきすぎだ」と話している。
このことを橋本市長に伝えると、そのような声があるにしても、ご理解をいただき、今後も利用制限は続けていくと話した。
日本百名山の「祖母(そぼ)山」が山開きし、宮崎県からの登山客、観光客も多いのだが、今回の決定で、レストラン、ドライブインなど、豊後大野市の決定に追従する民間施設が続々と出てくるかもしれない。
ツイッターで、「大分の豊後大野市に、私のバスプロ号を走らせたらどうなるでしょうかね」とつぶやいたが、実際に走ってみたい気分である。
行政が風評被害のもとを作ってどうするのだ。【了】
■関連サイト
○豊後大野市のホームページ
○「市長の日記」平成22年6月17 日(平成22年6月17日登録)
○【口蹄疫】宮崎人団体お断り 大分の豊後大野市に副大臣「いきすぎだ」
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6月17日朝、豊後大野市の農業振興課に電話を入れた。
読売オンラインに掲載された記事のことを伝えたが、担当課でありながら職員はその記事のことを知らなかった。
その職員に、過去に宮崎県民が豊後大野市の施設を利用したことがあるのかについてたずねたが、「過去に宮崎県民が利用したことはない」と答えた。また、これから宮崎県民が施設を利用する予定はあるのかについても、「今後、宮崎県民が施設を利用することはない」とも答えた。
さらに、記事に書かれていたように、新規の申し込みはまったく受け付けないのかとたずねたが、「施設の利用については協議の上判断するので、まったく利用できないわけではない」とし、読売新聞の「宮崎住民お断り」とはニュアンスが違うものであった。
そこで、読売新聞大分支局に問い合わせた。
担当の記者は取材中で不在であったが、豊後大野市が出したプレスリリースをもとに適切な取材を行っているとのことであった。
午後、宮崎県の機関である中部農業改良普及センターからタオルがほしいとの連絡が入った。口蹄疫支援に関する会議を途中で抜け出し、急遽、バスタオルなど1000枚余りを届けた。
その帰りの車中で流れたNHKラジオのニュースに耳を疑った。
6月19日に開催予定の九州地区の少年野球大会で、宮崎県のチームが参加することが分かり、豊後大野市は球場の使用を認めないとしたのである。
午前中の農業振興課の職員の話には、このことは出なかった。ましてや、子どもたちの野球の大会である。この日のために一生懸命練習を積み重ねてきた子どもたちのことが、脳裏を横切った。
ハンズフリーの装置を使い、すぐに豊後大野市の農業振興課に電話をかけた。午前中に対応した職員は別の電話に出ているとのことだったので、その職員にさきほどのNHKニュースのことを伝えると、ヘラヘラと笑いながら、「私は担当ではない」ようなことを言い出したので、一喝した。
その後、総務課にも問い合わせたが、少年野球大会のことなど知らない様子であった。
「いったい、誰がきちんと情報を把握しているのだ!」
電話口での担当者が代わった。橋本祐輔市長であった。
19日の少年野球大会については急な話だったので、大会の主催者に球場の使用を認めないことを伝えたようだ。市は少年野球大会の主催者ではないので、宮崎県チームはお断りとしたわけではないと説明した。
橋本市長は以下のように、マスコミの対応にも触れた。
「記事に書かれているように、感染地域の宮崎県民のすべてを『お断り』としたわけではない。市の施設の利用については、事前に相談し、場合によっては、ご遠慮いただくことはある。豊後大野市にも、341戸の畜産農家があり、市民の生活を守らなければならない。報道には、一部事実誤認がある」
「ただ、私(注:橋本市長)も、宮崎県民のみなさんと同じ気持ちである。口蹄疫の被害に遭われた畜産農家のみなさんのことを思うと、心が痛い。お見舞いを申しあげたい」
「また、宮崎県民の方からのお問合せに対して、うちの職員がヘラヘラと笑いながら対応したことに対しては、謝罪したい」
確かに行政のトップとして、豊後大野市民の生活を守らなければならない。このことは理解できる。しかし、宮崎県境にある鹿児島県の霧島市、曽於(そお)市、志布志市は、県境の道路の一部を封鎖しているものの、豊後大野市のように市の施設の利用制限などは行っていない。
この電話をかける前に、すでに宮崎県の河野俊嗣副知事は抗議のコメントを、また、篠原孝農林水産副大臣は「風評被害の典型的な例。消毒とかの協力をするのが大事であって、そこまではいきすぎだ」と話している。
このことを橋本市長に伝えると、そのような声があるにしても、ご理解をいただき、今後も利用制限は続けていくと話した。
日本百名山の「祖母(そぼ)山」が山開きし、宮崎県からの登山客、観光客も多いのだが、今回の決定で、レストラン、ドライブインなど、豊後大野市の決定に追従する民間施設が続々と出てくるかもしれない。
ツイッターで、「大分の豊後大野市に、私のバスプロ号を走らせたらどうなるでしょうかね」とつぶやいたが、実際に走ってみたい気分である。
行政が風評被害のもとを作ってどうするのだ。【了】
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○「市長の日記」平成22年6月17 日(平成22年6月17日登録)
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 大谷 憲史
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