マントを羽織り杖を付いて歩く私、どーもキャロ・ル・ルシエです。
ル・ルシエ族から追い出され子竜フリードリヒと旅をしています、追放理由は強すぎる力は災いを呼ぶとか。竜使いの一族なのに巫女を追い出すってアホですか、まあ過ぎた事はいいです。問題はですね、私六歳。ええ子供です、幾らフリードがいてくれるからって私自身には力はありません。
つまり何が言いたいかっていうと、私とフリードを囲む野盗の皆さん。
大ピンチです、私はここで描写できない扱いを受けるんでしょうか。何か野盗の一人が「ハァハァ、幼女に乾杯」って息が荒いですし。
マジで大ぴんち、フリードが守るように私の前に出てくるんですが多勢に無勢。
神様、いるかわかりませんが私なにか悪い事をしましたか? これでも私巫女です、神を敬う立場です。
つまりですね……助けてぇぇぇっ!? 私の心の叫びが届いたのか――
じりじりと迫る野盗、下がる私たち。そんな緊迫した状況の中、
「そこまでよっ!」
可憐な声が響き渡った!
「だ、誰だ!?」
「あそこです! 親分、木の上!」
キョロキョロする野盗と私たち、野盗の一人が声の主を見つけたのか指を差す。一斉に一同が注目する、そこには巫女の法衣を着た少女。肩まで切りそろえた黒い髪、童顔で大きな瞳。子供っぽい愛らしさを持っていた、ばさあっと法衣を脱ぎ捨てその下には動きやすい白い服!
「とぉうっ!」
掛け声と共に巫女さんが木の上から飛ぶ。
『むぅっ!』
警戒する野盗たち、期待の眼差しを向ける私たち。巫女さんは空中でくるりと一回転し、
べちっ。
私たちと野盗の間に立つつもりだったらしいが着地にミスり地面に激突。
…………。
静寂が周囲に広がる、野盗たちは見なかったことにしたのか私に向き直り迫ってきた。
って何しにきたんですかぁっ!?
焦る私とフリード、不意にひょこんっと巫女さんは起き上がった。びくうっと身構える野盗たち、巫女さんはぽんぽんっと服の埃を払い落とし私たちを見て安心させるかのように微笑み、野盗たちにびしいっと指を突き付け叫ぶ。
「そこまでよ、野盗たち! わたしの正義の炎が貴方達を裁きます!」
おお格好いいです、何となく強そうな雰囲気。第一印象はアレだったけど気にしません!
「……へっ、威勢がいいなお嬢さん。だがもう少し現実を見たほうがいいんじゃないか?」
親分と呼ばれた図体のでかいおっさんが言う、確かに私とフリードと巫女さん、それに対し野盗たちは数人。彼らからすれば新たに獲物が飛び込んできたもの、身ぐるみを剥がそうと迫ってくる。
うぅ、巫女さんが強くてもこれはさすがに……せめて私がちゃんと力を制御できてたら、フリードもヴォルテールも本領発揮できるのに……
ちょっと落ち込む私、だが。
「ふっ、甘いわね! 明りよ!」
『なっ!?』
高々と響く巫女さんの声、そういえば親分が啖呵をきってる間ぶつぶつ呟いていましたが。これは魔法!?
周囲にまばゆい光が灯る、うわっまぶしっ。
見れば野盗たちも同じ、更に巫女さんの魔法が追撃する。
「爆裂陣!」
『うどわぁぁぁっ!?』
地面が爆発したかのような魔法に吹っ飛ぶ野盗たち、勝負は一瞬につきました。
強っ、やがて満足したのか巫女さんは私たちに顔を向けて、
「悪は滅びたわっ! もう大丈夫よ!」
宣言する。笑顔が素敵です。
これが私キャロと巫女さん、いえアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンさんの出会いでした。
正義の炎を熱く燃やすアメリアさん、そんな彼女に私も影響されて……巫女同盟を結成。
私たちの旅は始まったばかりだ!