改正臓器移植法、施行半年 家族承諾で提供激増
京都新聞 1月16日(日)9時19分配信
改正臓器移植法の施行前後の脳死移植の推移 |
昨年7月17日の改正法全面施行後の臓器提供31例のうち、本人の書面による意思表示がなく家族による承諾のみでは30例に上った。法改正で臓器提供の条件が緩くなり、脳死移植の件数は大きく増加した。
京都大医学部付属病院(京都市左京区)は昨年9月30日、立て続けに2例の肝臓の脳死移植を行うことになった。臓器の提供施設は札幌市と仙台市。先に連絡のあった札幌の施設へは医師4人を送った直後で、スタッフに余裕がない。「摘出チームは北海道に派遣したばかりだ。仙台での摘出を何とかお願いできないか」。京大出身の医師が多く在籍する東京都の病院に仙台での摘出手術を依頼し、難局を乗り切った。
移植手術が増えると、医師とともに設備の確保も難しくなる。京大病院は移植手術を終えた患者の入るICUのベッド数が10床しかなく、全床が埋まっていることも珍しくない。
増加する脳死移植手術への対応について、肝胆膵・移植外科の上本伸二教授は「例えば京大病院に登録して移植を待つ患者が、京都府立医大病院の医師や設備の支援を得て移植を受けられるといった可能性も探る必要がある」と指摘する。日本肝移植研究会でも移植施設間の連携について議論を進めるという。
改正臓器移植法の施行後、脳死での臓器提供は滋賀県では家族承諾のみによる1例があったが、京都府ではまだない。そんななか、京都医療センター(京都市伏見区)は家族承諾のみによる臓器提供のシミュレーションを実施したり、府内の提供施設の医師や看護師が定期的に研修会を開いたりしており、臓器提供の環境整備は少しずつ進んでいる。
改正法で可能となった15歳未満からの臓器提供は全国で例がなく、府内でも小児の臓器提供に「対応できる」とする施設はゼロのままだ。
府臓器移植コーディネーターの久保田三千恵さんは「法改正だけでは脳死移植は進まない。提供施設のスタッフの意識向上と、体制の整備が何より重要だ」と話す。
最終更新:1月16日(日)9時19分
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