政治【高橋昌之のとっておき】菅首相の「玉砕覚悟無責任政治」への警告+(3/3ページ)(2011.1.16 18:00

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【高橋昌之のとっておき】
菅首相の「玉砕覚悟無責任政治」への警告

2011.1.16 18:00 (3/3ページ)
民主党の定期党大会であいさつする菅首相=13日午後、千葉市の幕張メッセ

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民主党の定期党大会であいさつする菅首相=13日午後、千葉市の幕張メッセ

 私は消費税率の引き上げについて、各種報道機関の世論調査をみても、国民の多くの方々は日本の財政事情や後の世代につけを回してはならないとの観点から、やむをえないと考えていると思います。しかし、それはあくまで無駄を徹底的に排除し、年金・医療など社会保障制度が設計されて将来不安がなくなるということが前提です。

 菅首相がそうした前提条件を示さないまま、消費税率の引き上げに言及したから、参院選で国民はノーを突きつけたのです。その後、菅首相が国民の理解を得るための努力をしてきたようには思えません。状況は変わっていないのですから、いくら菅首相が「前のめり」になっても、野党だけでなく、国民の理解も得られないでしょう。

 菅首相は内閣改造で、消費税率引き上げを持論とする与謝野馨氏を、たちあがれ日本から離党させて、経済財政担当相に抜擢(ばってき)しました。目的はまさに消費税率引き上げの案をまとめてもらうためです。

 しかし、一昨年の衆院選マニフェストで民主党は4年間、消費税率の引き上げをしないことを掲げており、この修正には党内で反対の声が強く、与謝野氏の起用についても反発が広がっています。菅首相と与謝野氏が消費税率引き上げに突き進んでも、与党内で合意を得るのは極めて難しいと言えます。また、自民党の比例代表で当選した与謝野氏の入閣には、自民党が「有権者への背信行為だ」と批判、中には「問責の対象になる」との声もあり、国会審議で野党から総攻撃を受けるのは必至です。このため、消費税に関する政府・与党の方針のとりまとめも、与野党協議も与謝野氏の入閣でさらに難しくなった、つまり実現性はほとんどないのです。

 菅首相がこんな戦略のない無責任な政治を、他の政策、とくに外交・安全保障でやられたら、取り返しのつかないことになりかねません。菅首相が「玉砕覚悟」になるのは勝手ですが、そこには大きな政治的危険性をはらんでいるのです。

 私は昨年末のコラムで、菅首相は来年4月の統一地方選までに退陣せざるをえなくなるだろうとの見通しを書きました。私の見通しが当たるかどうかは別として、菅首相にはそれまでの間、少なくとも取り返しのつかない過ちだけは犯さないように望みます。それこそ、後に菅首相の政権運営が「歴史に対する反逆行為」と評価されないように。

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