指定暴力団工藤会(本部・北九州市)系の組長が昨年の国勢調査で、市の推薦を受けて総務省から調査員に任命されていた問題で、北橋健治市長は4日の定例会見で「制度上問題があるとはいえ、大変申し訳なく思う」と陳謝。再発防止に向けて政府と協議を始める考えを明らかにした。
市企画文化局によると、組長は小倉北区で町内会長をしており、町内会側から「地域のことに明るい」との理由で推されたため、市が同省に推薦していた。国政調査員は市内に約5800人いたが、市が推薦する段階で暴力団員かどうかを調べることは認められていないという。北橋市長は「暴力団員であるかどうかは市では分からない。再発しないよう、政府と法令についてしっかり協議する」と述べた。
市はまた、組長が町内会長だった点も重視し、市内に約2850ある町内会をまとめる市自治会総連合会と今後の対応について協議する方針だ。
工藤会と組長のつながりが判明したのは国勢調査開始後の9月。市民からの情報提供を受けた市が県警に問い合わせて発覚。根拠となる法令がないため、調査員を辞めさせることができなかった。
〔北九州版〕
毎日新聞 2011年1月5日 地方版