佑爆笑スピーチ！鎌ケ谷みなさんこんにちは！でも、すぐサヨナラです

斎藤佑樹（中央）を中心に新人６人とマスコット・カビーで「ＶＩＣＴＯＲＹ」の人文字を作る（左から斉藤勝、乾、谷口、１人おいて西川、榎下）

　日本ハムのドラフト１位・斎藤佑樹投手（２２）＝早大＝が１６日、２軍本拠地の千葉・鎌ケ谷スタジアムで行われた「新入団選手歓迎式典」に出席した。１万１０００人のファンが集結し、所轄の鎌ケ谷署は全員出勤を含めた異例の６０人態勢で警備。斎藤は「入って早々、申し訳ないですけど、早く（１軍の）北海道に行きたい」と爆笑スピーチで市民の心をわしづかみにした。

　平和なニッポンを象徴するシーンといえる。鎌ケ谷スタジアムの上空。冬空にフジテレビを除くテレビ５局のヘリコプターが旋回し、主役の登場を待っていた。午後３時、歓迎式典がスタート。１万１０００人の歓声とプロペラのごう音が交錯する中、斎藤がベンチを飛び出す。実家のある群馬県太田市から鎌ケ谷市への転入届を提出し、マイクを握った。

　「皆さん、こんにちは。早稲田大学から来ました斎藤佑樹です。今日をもちまして、鎌ケ谷市民になったわけですが、僕自身、北海道日本ハムファイターズの一員ですし、その名前の通り、１軍に行きたい気持ちもあるので。入って早々、申し訳ないですけど、早く北海道に行きたいと思っています。ただ、決して鎌ケ谷の皆さんが嫌いというわけではないので、応援よろしくお願いします」

　“佑モア”にあふれたスピーチに客席が沸く。寒風吹きすさぶ鎌ケ谷が、少し温まった。

　鎌ケ谷は通過点にしなくてはならない。例年、キャンプを勝ち抜き１軍に定着した新人は、札幌の１軍寮と鎌ケ谷の両方に部屋を持つ。活躍するほど鎌ケ谷にいられない。市民の歓迎は胸に染みるが、優しさに甘えるわけにはいかない。

歓迎式典で挨拶する斎藤

　フィーバーは最高潮に達した。早朝から雪が降り積もる中、式典を少しでも良い席で見ようと、長蛇の列ができた。４７社２７２人もの報道陣が社会現象として１８番を追った。渦中の斎藤は現在、どんな心境でいるのだろう。質問に一瞬、思いを巡らせ、答えた。

　「不思議というか、（早実）高３の頃からもそういう感じだったじゃないですか。『入寮したところで…』という感じで正直、（過熱する報道は）本意ではないけれど、取り上げてもらえてうれしい」。複雑な胸の内を明かし、こう続けた。「結果が出なくて苦しむのも自分。人よりも苦しむと思う。プレッシャーを自分にかけて、頑張りたい」。“斎藤佑樹”として生き抜く覚悟と決意が、表情からうかがえた。

　周囲の喧騒（けんそう）とは関係なく、体調は良好だ。初ブルペンは１８日が予想される。「自分でまいた種なので、自分で刈るというか。しっかりやっていかないと」。早実の大先輩、ソフトバンク・王貞治球団会長からの助言を自らに言い聞かせた１８番。鎌ケ谷から北の大地への“卒業”こそ、最高の恩返しになる。

　◆斎藤佑樹の名言集
  ▼「持ってる」　昨年１１月３日、東京六大学リーグ優勝決定戦（対慶大）の勝利インタビューで「いろんな人から『斎藤は何か持っている』と言われ続けてきました。今日、何を持っているかを確信しました…それは仲間です」と歓喜。昨年のユーキャン新語・流行語大賞で選考委員特別賞を受賞した。
  ▼「エンターテインメント」　昨年１１月１８日、明治神宮大会決勝で東海大を撃破。アマチュア最終戦で日本一の涙を流し、「幸せ者だと思います。上のステージでも、エンターテインメントできるように頑張ります」と誓った。
  ▼「一生勝ち続けます」　０７年６月４日、１年生投手として東京六大学春季リーグ戦史上初のベストナイン獲得。優勝祝賀会で「自分がいる４年間は再びＷＡＳＥＤＡの黄金時代を切り開きたいと思います。我が早稲田大学野球部は一生勝ち続けます！」と宣言した。
  ▼「持ってる」パート２　０７年６月１７日、全日本大学選手権で東海大を破り優勝。大会初の１年生ＭＶＰに輝き、「早慶戦の時は運を使い切る頃かなと思っていたけど、やっぱり何か持ってますね」。