「ノア」(15日、大阪府立体育会館)
GHCヘビー級選手権は王者・杉浦貴(40)がバイソン・スミス(37)の挑戦を退け、故三沢光晴さんの記録を超え、歴代単独2位となる8度目の防衛に成功した。パワーに勝るスミスの技を正面から受け止め、最後は雪崩式五輪予選スラムで完勝。昨年のプロレス大賞MVP男が今年も絶好調ぶりを見せつけ、小橋健太の持つ最多連続防衛記録『13』が視野に入ってきた。
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MVP男杉浦が、その貫禄を見せつけた。難敵バイソンを退け、8度目の防衛に成功。故三沢さんの7度を超え、同王座歴代2位の連続防衛記録に「三沢さんを超えたとは思ってないけど、正直うれしいですね」と、頬を緩めた。
188センチ、122キロの巨漢を相手に、真正面からパワー勝負を受けて立った。「これまでの挑戦者で一番のパワーだった。ただ、小細工をしても勝てないし、真正面から勝たないとチャンピオンの意味がない」。序盤の場外戦で観客席への五輪予選スラムを敢行。エルボー合戦でも圧倒するなど、一気にペースを握った。
中盤は相手の投げっぱなしパワーボム、至近距離からのラリアートに苦しめられたが、コーナーへのジャーマン、エルボーのラッシュで再び追い込むと、最後は雪崩式五輪予選スラムで挑戦者を沈めた。
昨年はGHC王者として、7度の防衛に成功。三沢さん、小橋健太と並ぶ年間最多防衛記録をマークした。新日本の後藤洋央紀、真壁正義の外敵から、高山善廣、秋山準、潮崎豪、森嶋猛と歴代王者まで次々と退け、プロレス大賞MVPも初受賞。ノアだけでなく、プロレス界の“顔”として君臨し続けた。
昨年同様の活躍なら、小橋の持つ歴代最多防衛の『13』、そして87、88年の天龍源一郎以来となる2年連続MVPも視野に入ってくるが「『13』はまだ見えてこない。組まれた1戦1戦をやるだけ。次の相手?勘弁して。終わった瞬間から、気持ちは北新地に向いてるんで、うまい酒を飲んで、それから考えます」。2011年も絶好調の“ミスターキャバクラ”は、そう言い残し、北新地のネオンに消えていった。