牛丼チェーン店で牛丼を頼むときにメニューに記載されていない「隠しメニュー」というものがある。「つゆだく」「ねぎぬき」といった、客のこだわりにこたえるもので、チェーンによっては、メニューにない特大牛丼などもあるという。
「牛めし」を販売している松屋では、具材のつゆの量が多くなる「つゆだく」、少なくなる「つゆぬき」を頼むことができる。
ネギの量も調節可能だ。多くしたければ「ねぎだく」、入れて欲しくなければ「ねぎぬき」と注文すればいい。
松屋では牛めしだけでなく、カレーも販売しているが、こちらもお好みで福神漬けの量が調節できる。サラダのコーンを抜くオーダーもできるという。松屋フーズの広報担当者によると、これら隠しメニューはマニュアルでも定められており、全国の店舗で頼むことができる。
すき家でもつゆとネギの量が調節可能だ。すき家を運営するゼンショーによると、「つゆだく」より更につゆが多い「つゆだくだく」も、マニュアルにはないが物理的には対応可能だという。
また、特殊なサイズも注文できる。特大サイズの「キング」(940円)と、極小サイズの「プチ」(130円)で、「キング」は肉の量が並盛りの6倍、ご飯の量が2.5倍。一方、「プチ」は並盛りの4割ほどで、おにぎり1個くらいの分量となっている。どちらも09年夏に発売し、話題となった。現在はメニューから消えてしまったが、「隠しメニュー」という形で残っている。
ゼンショーの広報担当者は、
「キングはメガ牛丼の2倍ぐらい。凄い量なので、頼むのは学生や若い人が多いですね。牛丼のプチというのは、カレーを食べたけど、せっかくすき家に来たのだから牛丼も少し食べたいという人が注文しているようです」
と話している。
牛丼業界の老舗・吉野家では、こうしたこだわりの「隠しメニュー」を「特殊オーダー」と呼んでいる。現在、全国どの店舗でも対応しているのは「つゆだく」「つゆぬき」だけだという。また、ネットでは吉野家で「頭の大盛り」と頼めば大盛りの価格(480円)で、ご飯が並盛りの牛丼が出てくると言われている。しかし、吉野家広報担当者によると、「頭の大盛り」で対応できない店舗もあるといい、「そういうときは、大盛りを頼んで『ご飯少なめ』とオーダーすれば大丈夫です」と話す。
東京・築地にある吉野家1号店では、ネギの量も調節可能だ。「つゆだくだく」もできるという。築地店は他の店舗より対応できるオーダーが多く、頼むとご飯が冷たい状態で出てくる「つめしろ」というメニューもあると言われているが、
「1号店には、何十年と通って頂いている常連の方がいます。その中に暖かいご飯が苦手な人がいてやっていたのでしょう。ただ、プレーンの牛丼が一番美味しいよう商品開発しておりますし、最近はお客様も世代交代が進んで、『つゆだく』や『ねぎだく』以外がオーダーされることは殆どありません」
ということだった。
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