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──国の施策や産業界の取り組みと、市民レベルの実感や行動は違うんですよね。

平沢: 日本人も、個人の付き合いでは思い遣りがあったり、他人に気を配ったり、自分の行動を制限したり、場合によっては自己犠牲的な振る舞いだってしますよね。しかし、一歩そこから出て、相手がはっきりと見えない公共的な部分になると、なぜか「親方任せ」だったり、「国頼み」になりがちなんですね。けれども、外側から誘導されたものでは続かない。

環境問題を色々な人とのかかわりの中で生きていく、共存に必要なマナーという考え方でとらえられない限り、すべては人任せになる。人任せになるということは、任せた人の言いなりになるということだし、任せた人が美しい大儀の下に不幸を作り出したとしても、それを容認しなければならなくなったりする。

これは環境問題に限ったことではありません。「外発的に誘導されてやるんじゃなくって、個人が内発的にやるんだ」というっていう気持ちを奮い起こすことは、きわめて大切だと思うんです。

要は、公共マナーを心得て、成熟した公共精神と趣味を持つ大人のカッコ良さを自覚するってことです。つまり“普通の大人”になりましょう、ということです(笑)。

(了)

前編中編はこちらからどうぞ)

平沢 進(ひらさわ・すすむ)氏

1979年、プログレッシブバンド「MANDRAKE」を母体に、テクノポップバンド「P-MODEL」を結成。ワーナーミュージックよりデビューする。その斬新かつPOPなサウンドがテクノポップ・ブームの口火となり一世を風靡する。その後メンバー・チェンジを繰り返しつつ、現在も精力的に活動中。結成20周年にあたる99年は、「音楽産業廃棄物~ P-MODEL OR DIE」と銘うったプロジェクトを掲げ、ネットワーク配信をはじめとする新たな音楽産業の在り方を呈示するなど、今後ますます目が離せない状況である。

89年よりP-MODELと並行してソロ活動を開始。より歌に重心を置いた無国籍風サウンドを確立し、「過去」(神話/民俗的世界)と「未来」(SF/コンピュータ的世界)が「現在」に出会ったかのような、まさに「平沢ワールド」を繰り広げる。

また、自ら考案し94年から始めた「インタラクティブ・ライブ」(コンピュータとネットを介し、観客のレスポンスによりコンサートの進行が変化する、いわば”ロールプレイング・ライブ”)は現在まで5回を数え、平沢の活動の中でもライフワークと呼べるものとなっている。AMIGAを駆使した総合エンターテイメントとして、音楽業界以外からの評価も高い。

平沢の音楽活動は多岐にわたり、TVドキュメンタリーの音楽制作、OVAのサウンドトラック、小説のイメージアルバムの音楽担当、ゲームミュージックなど、ロックの分野のみならず多方面から注目を集めている。97年には原作者からの熱い要請に応え、日本テレビ系アニメ「剣風伝奇ベルセルク」のサウンドトラックおよび劇中歌を担当。原作の持つ重厚な世界観にマッチした楽曲は、アニメファンの間でも高い評価を受ける。

また、2002年公開のアニメ「千年女優」の音楽全般も担当。時空間を超越する壮大な作品テーマを表現。

平沢は常に時代の数歩先を読み、あらゆる分野への「アーティスト」達に影響を与え続けている。

プロフィールの詳細については、こちらのWebページを参照。

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