電子書籍:出版、印刷会社が統一規格づくりに着手へ

2010年11月19日 20時2分 更新:11月19日 20時33分

 電子書籍の普及を促すため、国内の大手出版社や印刷会社が中心となり、書籍のデジタル化を容易にする統一規格づくりに乗り出すことになった。月内にも関連業界や総務省などの行政機関が参加する「電子出版日本語フォーマット統一規格会議」(仮称)を設置して、来年春までに内容を固める方針。統一規格が完成すれば、デジタル化に要する時間や費用が大幅に軽減されるため、出版社の市場参入が一気に加速しそうだ。【赤間清広】

 国内で販売されている電子書籍の閲覧方式は、シャープが開発した「XMDF」▽日本企業ボイジャーの「ドットブック」▽米アップルが採用するなど海外で主流となっている「EPUB」など複数が混在している状況。各方式に互換性がないため、出版社は方式ごとに別々の仕様で書籍のデジタル化を進める必要があり、電子書籍の出版が思うように進まない要因となっていた。

 統一規格会議はこうした問題を解決するため、いずれの方式にも変換可能な「中間フォーマット」と呼ばれる統一規格を目指す。出版社側が中間フォーマットに沿って書籍をデジタル化しておけば、どの方式でもデータを読み取ることができる仕組みを想定している。規格は無償で公開し、大手出版社の負担軽減とともに、これまで技術的な問題で電子書籍を手掛けられなかった中小出版社の参入を促す計画だ。

 09年度の国内電子書籍市場の規模は574億円。05年度(約94億円)の約6倍に拡大したが、8割以上を携帯電話向けなどのコミックが占めている。一般書籍については、各閲覧方式ごとに人気タイトルを奪い合う「囲い込み」が激化し、利用者にとっては使う端末によって読める電子書籍が異なる不便が生じていた。統一規格が普及すれば、こうした事態も解消されるといい、国内市場の活性化につながると期待されている。

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